Corporate 2024.07.08

組織のあり方も、全てはNextスタンダード創造のために──組織に影響を与えた取り組みと今後の注力について聞きました

2024年5月7日、BEENOSは、日本経済新聞社が上場企業約2,300社を対象に実施した企業調査において、「働きやすさ」と「働きがい」が高い「プラチナ企業TOP100」11位に選出されました。時同じくして社内では、人事制度や取り組みのあゆみをまとめていました。数年を振り返り、見えたことと多様な人材が共に働く当社グループがこれからの成長に繋がるチャレンジを続けるために、組織に必要なことは──?人事戦略室長の宮坂に話を聞きました。
 

真っ赤な従業員サーベイと、飲み会・ゲームから始まった



宮坂:2014年末、ネットプライスからBEENOSに名称が変更され、直井さんがグループCEOに着任するという新体制になりました。私は当時、tensoにいたんですが、オフィスは五反田で別でした。当時は今みたいにグループ経営ではなくて、子会社はスピンアウトして上場しなさい、くらいの勢いで、グループ経営会議はあるけど一緒に何かをやる感じではなかったように思います。コーポレートに一部業務を委託するような形だったこともあり、実は私自身、「人事」についても、給与を振り込んでくれるとか、そういう認識でした。
いよいよグループ経営をするとなった時、直井さんから声を掛けられて、社長室に異動することになりました。



──着任された頃の組織としてのBEENOSはどんな状態でしたか?

宮坂:
当初は、今ここで言ってもキリがない程に色んな課題があったと思いますが、個社経営からグループ経営に移行していく時期だったので、ベースは人と人をつなげていく状態を作ることから始めていきました。異なる事業会社のコアメンバーを誘って、飲みに行こうとか、飲み会でのゲームとか、本当にそういうことからです。みんなが盛り上がる方向、まずはポジティブに受け止めてもらえる状態を作ろうということがスタート地点で、そこからグループでの総会などの流れを作っていきました。 
柔らかいものをやりながら会社の方向性を示唆する、その中で評価制度の改定とかモチベーションサーベイの頻度を上げていって定期実施するなど、徐々に社員とのタッチポイントを増やし、立ち位置を変えていきました。

──印象的だったことはありますか?

宮坂:
従業員サーベイのスコアは、悪いと赤字でアラートが出るんですが、着任した頃は画面中真っ赤な事業会社やチームも少なくなかったんです。各社によって課題が違ったので、全社的な施策では解決できない。原因を突き止めて対応するまで時間がかりました。
今は、真っ赤な会社やチームは見ないですね。おそらく、みんなでやった結果なんでしょうね。現場も頑張ったし、制度とか施策だけでなく人の頑張りもありました。
 

「人事の仕事は、人と人をつなげていくこと。」


──着任当時、直井さんから人事として目指してほしいことについて、かけられた言葉はありましたか?
 
宮坂:
「人事の仕事は人と人をつなげること」と仰っていただきましたね。「社長の一歩前をいく仕事だ」とも。だから“横でつながる”ことがコンセプトで、色々な施策を行っていきました。例えば、新卒採用も大きかったかと思います。屋号が変わり、新卒採用を再開した時。今思えばこれが大きな転機で、「久々に新卒が入ってきた」と、グループが彼らに注目しました。当時は個社で独立して経営を行っていたので、グループ内で共通のものを見ることがなかったんですが、「新卒」という存在を共に見るようになりました。

新卒のまっすぐな「こうしていきたい!」という思いや姿勢に応えていくことは、当時の会社にはなかった部分でした。ですが、そんな彼らに私たちも大人として応えないといけない。組織も役員も、そうやって大人にしてもらったと思います。

──振り返って、組織の変化に作用した転機はいくつかあるのでしょうか?

宮坂:
新卒採用や評価制度改定、オフィスリニューアル、コミュニケーションツールの統一、Divisionごとの月例会、Purpose制定と社員旅行などが特に大きかったと思います。

オフィスのリニューアルは2018年秋に行ったのですが、当時はエントランス・商談スペースがとても広くて、今の従業員ラウンジのように、従業員同士の会話がオフィス内でおきる感じではなかったんですね。事業の変化に伴い商談スペースが有効な場所ではなくなってきて、結果として誰もいない時間が多くなってしまったのです。グループとして横でつながっていこうとしている時期だったのでオフィスを全面リニューアルして、商談スペースは従業員ラウンジに変更して社外からはクローズドな場所にしました。

また、今のグローバルコマースで「月例会」をやりはじめて。グループ全体でやると情報が薄まってしまったり、会社のことが理解できないのでDivisionで開催していました。月間MVPなど、行動指針である「自立和尊」を軸に評価し表彰を行っていたんですが、この取り組みは人事が押し付けたわけでもなく、現場と合意しながら進めていきました。最初はグローバルコマースDivisionで行っていたのですが、次第に広がっていき、グループのすべてのDivisionで開催されるようになりました。

そうやって、横でつながるような施策とそのチューニングを行っていきました。振り返ってみると色々なことをやっているという感じです 。2019年にPurposeが定められて、それを発表する場にもなる20周年社員旅行が行われたんですけど、その時は沖縄まで行って、かなりの熱量をかけて発表しました。大事なことを社員旅行という節目で、時間を使って伝えるから深く落ちた部分もあったと思います。会社の本気が伝わる場だったかなと。

──3か月後にコロナウイルスが流行してリモートワーク体制に移行しましたけど、今振り返っても、11月に社員旅行があったから組織としてもバラバラにならずにいられた部分はあったんじゃないか、と私も思います。柔らかいものだからこそ測定しづらいものではあるんですが振り返るとエンゲージメントには繋がっていたのではないでしょうか。

宮坂:
そうですね。日常の業務の延長だと共有できるものって実は多くないと思います。一緒に何かをする場としては社員総会などでは単日でまだ薄いですし。社員旅行の効力って言語化しにくいんですが、帰属意識まで行かないものの、一体感とか自分がここにいることが安心する・ここにいたい、いてもいいんだという肯定感を潜在的に醸成できたのかもしれないですね。飲み会単体では醸成できないですよね。数日間かけて、アクティビティも含めて全員で色んなことを行いました。
私も、現場と組織について「事業」を軸に話す際、結構Purposeに立ち返ります。事業っていろんなやり方があるとは思うんですね。でも、自分たちはそのドメインでNextスタンダードを創りたい。それってNextスタンダードなのか?今の意思決定はそのためにされているのか、を考えると立ち返れますよね。

事業も人もNextスタンダードのために


──色んな施策や制度の変更を経て、大切だと思うことは何ですか?

宮坂:
「投資する感覚」に近いと思います。事業も投資で、今儲かることだけじゃなくて、未来の可能性に賭けています。事業も人もNextスタンダードのために。
新卒を採用するのも、長期的な目線で活躍してくれているからなんですよね。事業も人も投資をして、チャレンジをやめないことが重要だと思っています。それが制度や施策に落ちてくるんじゃないでしょうか。施策って、柔らかいものもあるけどつながっているんですね。制度も使い方次第ですし。

インタビューで直井さんは「人は勝手に育つ」と話されていましたが、私たちができるのって機会を提供することだけなんですよね。例えば、採用活動を通して、BEENOSの良さをエージェントの方に聞かれることって多いんですよ。厳しい方には、「他社と比べて尖っているものあるのか」とか言われることもあったんですけど。
その際に考えて、他社と実施していることは似ているけれど、「機会の提供」が強みなのかなと思っています。事業自体色々と変わっていくのでキャリアパスも変化していくんですね。その中で常に提供できる機会のベストを提供したいとは思っています。事業もただ合理性だけじゃないですし、機会をいかに提供できるかは直井さんが考えます。グループ内異動も、昔はなかったんですけど、評価制度や制度を共通にしていくことでしやすくなって、結果的にチャンスが増えました。出資先に若手人材を出向して貢献と修行を両立させる事へも取り組みましたね。 

事業の成功、若手の成長、その状況をどう作るか


──最後に、今感じる伸びしろ、もっと変えたいことはありますか?

宮坂:
事業の成功、若手の成長、その状況をどう作るか、そのために採用、育成をどうするか考えています。BEENOSで特徴的なのは、経営の中で出てきたアイデアを人事などに直結させています。施策に対して急ですね?と言われることもあるんですけど、マーケットは早く動いているのでそういうスピード感になります。
抜擢が十分かと言われると、昔に比べれば充実しているが、もっとできる。ただ、ポジションを上げるにしてもマネージャー基準やマネージャー教育が大事になっていく、DosやPurposeを捉えて落とし込めればもっとよくなりますし、時間をかけていく必要がある。

当社の主力事業であるBuyeeですらも手段ですが、そのBuyeeがあるからこそ、いろんな新規事業にどんどんチャレンジできています。他の事業がこれからNextスタンダードに刺さってくれば、私たちもやりたいことがもっとできるようになると思っています。まだ力不足もありますし、きっとギャップやストレスも出てくるんだと思います。それでもNextスタンダードを創出するために事業をやるし、優秀な人を採用することからはブラさない予定です。私たちがパワーをもって示し続けないといけないと思っています。
グループのアセットも活用できますが、繋がっているという感覚をどう未来に持てるかが大事です。未来に対して色んな手を打っていくことと、グループが有機的につながっていくこと。それぞれが力をつけていかないといけません。

──ありがとうございました。