Corporate 2022.04.08

新設された事業戦略推進室室長が明かす、そのミッション

2021年9月より、BEENOSに事業戦略推進室が新たに新設されました。室長を担う三浦さんは、これまでコンサルティングファームや経営企画等のバックグラウンドを持ち、BEENOSではM&Aや各種事業への戦略提案などを行っています。ビジネスにおいて「Value for money」という考え方を重視しており、グローバルビジネスについて顧客への意識の重要性を話した三浦さん。今回、その背景となるこれまでのキャリア、そして今後の室のミッションについても話を伺いました。



―これまでのキャリアについて、教えてください。

三浦:新卒ではコンサルティングファームに入り、戦略コンサルで数年間仕事をしていました。印象的な仕事と言えば大手企業の推進するスマートシティ構想に関わっていて、街を一つ作ったんです。その街をどういう街にするか、エネルギーの収支がどうすればつくのか、経済的にどういうビジネスモデルを作って発展させていくかという企画で、完全に新しいビジネスなのでPLをどう組むかも試行錯誤な中、クライアントと一体で。稟議資料や計画、役員の方に説明する資料も作成していました。

その後、声をかけられて経営企画としてメーカーに入社しました。収益の見える化やどの商品をもっと売った方がいいのか、どのチャネルを強化すべきかなど色々取り組みましたが、一番大きいのが海外事業です。インドの企業を買収し、PMIと呼ばれる統合プロジェクトの推進を担当しました。物流の改革から、商品のポートフォリオ戦略、生産体制の見直しを行い、営業組織の再編も行って。現地営業の効率向上のため組織の大規模編成を行いましたが、それも現地の営業と仲良くならなければ話を聞いてくれないので朝から晩まで1日同行したりして。インドは広いので、東西南北の各地域でマネージャーを集めた会議なんかをやって意識変革を進めていきました。

―どのくらいの期間インドにいたんですか? 

三浦:
駐在していたわけではないので、5年間で年に120日程度向こうへ行っていました。180日超えると居住していることになってしまいますので(笑)3年間で365日を超えても居住とみなされるんですよ。家はほぼ寝るための場所でしたね。ひとり身だったからできたというところはありますね(笑)すごく刺激的でした。営業に同行したり、工場まで行くのに車で6時間かかったりとか。
当時は企業のすべて、商品戦略から生産戦略、営業戦略、そのあとも含めて会計処理とかお金のこと、資金繰りなんかも日本の橋渡しになりながら、現地のことを日本の取締役会に毎月のように報告していました。

戦略は色々携わりましたが、専門領域を増やしたいと思っていて。その中でマーケティングが面白いなと思い、外資メーカーのマーケティングのマネージャー職に就きました。プライシング、ECチャネルの拡大、顧客エンゲージメントプログラム、お客さんにもっとファンになってもらうためにどういうプロセスを経てどういうイベントをやればいいかなどをまとめる役目でしたが、日本での仕組みがうまくいったので海外にベストプラクティスとして紹介することになりましたし、最終的には韓国のチームも指導する役目を担っていました。

広告というよりはもっと広く、プライシング等含めたマーケティングで、薄く広くというところはありました。
そしてマーケティングの知識をもっと深めたくなり、広告代理店に入社しました。経営企画として企業再編等のプロジェクトリーダーなどをやっていました。また、新規事業開発で新しいサービス、ビジネスをしようということを一緒に作って一部自分たちで営業もしていました。そして今に至ります

―経緯が気になっていたので納得です。

三浦:
振り幅が大きいですよね(笑)。

―BEENOSはどんなきっかけで入社されたんですか?もともとBEENOSは知っていたんですか?

三浦:
BEENOSは、「へえこんな会社あるんだ」というところからですね。最初は中村さんとお話ししました。どういう方向性で会社を伸ばしていきたいかと。もともと、マーケティングを軸としてかつM&Aなどの戦略的な経験が活かせるということを総合的に考えており、領域としてはコマースに関わるところがいいんだろうなと考えました。かつ、事業開発的なことができるところ。そこでBEENOSへ。

―色々な企業がある中で、当社にジョインした決め手は何でしたか?

三浦:
やっぱり事業の方が良いなと考えていたのと、あとはもう好みで。直井さんとなら一緒に仕事をするイメージが湧きました(笑)。最後はそういう感情の部分ですね。絞るまではすごくロジカルでしたが。外から見るときは冷静に客観的に見るんですけど、人と会うと感情論のほうが勝ってきますね。大企業であれば事業の中の一部分になるかもしれません、規模が大きい分。でもBEENOSだとグループ全てかなと。趣味嗜好の部分がありますね。

M&Aや投資での新規案件創出や戦略目線での中長期的分析などに取り組む



―三浦さんの入社後事業戦略室が新設されましたよね。事業戦略室のミッションを教えてください。

三浦:
事業成長のきっかけを作れる部署になればいいなと思います。事業を車輪を回すことにたとえるとすると、初めにしなければいけないことが2つあって、ひとつはどっちの方向を向いて車輪を回すか、もうひとつは最初に回し始めること。取っ掛かりとなる二つの場面で力になれればいいなと思っています。

―本当に色々な事業会社と色々なことをされてますね。関与している事業会社はどこですか?

三浦:
デファクトスタンダード、JOYLAB、BEENOS Entertainment、tensoなどとは話をしています。個別の事業の数字を分析して機会がありそうな領域を見ていけないか、中長期的な戦略目線での分析と戦略の位置づけに対する働きかけができればと思い。まあ新しい部署なので必要不要の判断も含めて一度やってみます。私自身は会社が成長するためなら何でも良いと思っており、新しい仕事がどんどん生まれていく状態になればいいなと。常にアンテナを外に張って、BEENOSグループが事業展開ができるようにしておきたいです。あとは、M&Aですが、事業のM&Aってこれまでは個別に検討していたみたいなんですけど、そこは現在僕の方でアプローチしたり、テーマや領域等を設定して働きかけて、という感じでやっています。出資にしても同様でこちらからコンタクトを取りにいくなど新規案件の創出も動いて行く方針です。昔から言われていることですが、昨年Mackinseyのレポートでも、M&Aを継続的に身の丈にあった規模でプロセスとして事業成長の一部に取り込んでいる企業のほうが、M&Aをしない企業や大きいディールをするもしくは、選択的にたまにM&Aする企業等よりも企業価値が上がると書かれていました。このように価値貢献できる様なM&Aについて日々検討していきたいと思っています。

―三浦さんが今、重視されていることは何かありますか?

三浦:
個人的に、”Value for money” つまり価値があるからお金を払ってもらえるビジネスを大切に感じています。利益が厚くなりますが、その分を再投資してサービスやお客様の体験をさらに良くしていく。そうできるように積み重ねていきたいです。当然事業の中でやっておかなくちゃいけないこともあってそういうマーケティングをもっと事業として展開していけるような形にしていきたいです。

価格を削って選んでもらうのは確かにわかりやすいんですが、コストを削ろうとするとお客様との接点をおろそかにしたり減らしたりすることが多いです。それよりも価格はむしろ高くても、その価値に見合ったサービスは何かを考えようということです。そうして提供するサービスが増えていくとお客様との接点が増えていきますよね。接点の多さがお客さんのファン化に繋がっていきますし最終的に当社と付き合っていて良かったという、パートナーの状態になるんです。これによって長期の関係が築けるので、最終的には利益も増えていきます。こういう世界を作りたいですね。接点が増えてファンを作る率を増やしていく。顧客体験を密にしていくというところで事業も成長するしお客様にも寄与できる。エンゲージメントを上げていく。これがサービスに求められていることだと思っています。とはいえプライシングというのはとても大事ですけど。一つ一つやりながら考えていかなくてはいけないです。そういうものを積み重ねられるような状態になっていたらいいなと思います。
また、もっとグループで主体的に商品を取り扱って売買を行える状態というのをもっと広げていった方がいいんだと思います。そこには当然、付加価値も生まれてきますね。

 

BEENOSの良いところは積極性と事業への一定の許容



―BEENOSという環境の魅力は何だと思いますか?

三浦:
積極性ですね。どんどん行こうぜみたいな風土があると思います。以前在席していた企業では議論して考えてそれで終わりました、ということが多い中でBEENOSは「とりあえずやってみようぜ」というところがありますね。物事の始まりが速いです。勢い、スピードがあります。
もうひとつはある程度の許容があるところです。事業を開始すると最初は絶対投資が必要になるんです。そうなると既存事業とのバランスを見てすぐに事業クローズという判断になりやすい。勿論、圧力は必要なんですがある程度許容されていないとビジネスって始められないんです。
 

事業の都合ではなく、お客様に対する意識を大切に



―三浦さんはグローバルな事業展開に必要なことはどんなことだと考えていますか?

三浦:
お客さまに対する意識をあるタイミングでいつも思い出すことが重要ですよね。事業をやっているとどうしても、事業側の都合やコスト効率で進めがちなんですが、それを続けていくと何かを忘れていくんじゃないかなと。
大事なのはどういうお客さんが使っていて、そのお客さんの使い勝手ってどうなんだろうというのを意識し続けることなのかなと思います。
グローバルな事業展開に必要なのもこの意識だと思っており、国によって当然買いたいものも、欲しい検索の能力も、買いたいプラットフォームも違うと思うんです。国によってもっとカスタマイズしてもっと欲しい商品が表に出るように作り変えたり、別に用意したりも面白いなとは思っていて、色合いなんかも国によって好みがあると思うので、分化していくと思うんです。

本来ここまでやった方がお客さんは便利なんだよね、ということを分かった上でやっているか、どうしようもないよねと止まっているかの差は最後大きいんだと思います。お客さんの本当に欲しいものとか利便性を考えたときに何が本当にいいかを考え続けることが大事なんだと思います。
国内のECとかでもカスタマイズが普通になっている中で、ローカライズなんかその前のレベルだなという印象です。全体的にワンプラットフォームという世界が終わりつつあるんだと思います。その中でどういう風に考えていくか。そういったところを少しずつやっていけたらと考えています。必ずしもグローバルに限った話ではないですが。

―入社時に働くうえで大切にされている座右の銘についての紹介を拝見しました。

三浦:
論語にある知好楽という言葉ですね(笑)。知っている人よりも好きな人のほうが強く、好きな人よりも楽しんでいる人のほうが強いみたいな意味なんですが。自分で楽しむというのがやっぱり大事で、周囲も楽しむ、それがチームとして一番強い状態だと思います。楽しいことがなるべく多くできればいいなと思います。しんどいことは常にあるので、しんどいことから逃げずにかつなるべく楽しいことを増やしていくことが個人的には大事ですね。

―いらっしゃってから7か月ですね。色々経て、どういう方がBEENOSに合っていると思いますか

三浦:
受容性が高い方でしょうか。いろんな機能や仕事があるので攻める人守る人バランスよくいたほうがいいと思いますし、どちらかだけというわけではなく。どちらも必要で、バランスが大事だと思います。ただ新しいことに対する受容性が必要で、要はなんでも楽しめるかどうかですね。


―色々お話聞かせていただき、ありがとうございました!
 

Profile プロフィール

 
三浦 敦佑
2007年、米系戦略コンサルティングファームに就職。戦略立案、マーケティング戦略、新規事業企画などのプロジェクトを経験。その後、日系消費財メーカーでのインド事業の買収とマーケティング・生産・物流・営業の各分野における戦略立案・推進、欧州系機械メーカーでのプライシングの最適化やEC化・営業活動DX化、広告代理店での新規サービス開発・組織変革など、企業戦略、マーケティング、M&Aを軸に複数の企業変革を実現。
2021年9月にBEENOSに入社