Corporate
2025.09.26
働く場所を、もっと好きに。デザイナーが手掛けるBEENOSオフィスづくりの全貌

デザイナーとしてBEENOSグループの新規事業のデザインを数多く手掛ける傍ら、オフィス移転プロジェクトに携わり、新オフィスのデザインを主導したデザイン推進室の佐竹さん。専門外の領域に飛び込み、プレッシャーと闘いながらも、最高のオフィスを作り上げた挑戦の軌跡を伺います。
―佐竹さんの普段の業務内容を教えてください
デザイナー兼ディレクターとしてBEENOSグループ内の新規事業に携わっています。具体的には、ステークホルダー調整と要件定義から、ウェブページの画面遷移図やワイヤーフレームの作成、サイトのUIデザインやグラフィックデザインのアートディレクションなど幅広く担当しています。
―新オフィスデザインに挑戦した背景を教えてください
私がオフィス移転プロジェクトに関わることになったのは、まず、各部署の代表が集まる「オフィス運用分科会」のメンバーとして参加したのがきっかけです。この会は、オフィス移転後の運用方針を部署の垣根を越えて話し合うのが目的で、デザインに関する議論は、別のプロジェクトが担当していました。正直、どんなデザインコンセプトや導線設計が検討されているのか、当時からずっと気になっていました。
とはいえ、私自身はこれまでBEENOSグループで運営していたサービスの店舗デザインに携わった経験はありましたが、空間やインテリアデザインの専門知識が豊富なわけではありません。同じ「デザイン」という分野でも、正直なところ「専門外」という言葉が一番しっくりくる状況だったんです。
そんな時、デザインに関するプロジェクトの定例会に参加する機会があり、社内にオフィスデザインを専門とするメンバーがいない中で、誰かがリードしなければならない状況であることを知りました。そして、社内デザイナーとして、私にも貢献できることがあるはずだと感じ、そこから自発的にデザインに関するプロジェクトでも提案を行うようになりました。

―オフィスデザインの中で、気に入っているポイントを教えてください
まずは協力いただいた設計会社とデザインテイストを決めていったのですが、元々設計会社からは「NATURAL + BIOPHILIC」というご提案をいただいていました。それも踏まえて私は「CAFE & LIVING LIKE」というテーマを追加し、カフェのようにオシャレで、リビングのようにくつろげる空間をイメージしてデザイン提案を行っていきました。
こだわったポイントは大小いろいろとあって一つに絞ることがなかなか難しいのですが、その中でも、特に気に入っているポイントを挙げさせていただきます。
①エントランスの吊り下げロゴ

BEENOSが「世界を、未来を照らす存在であり続けたい」という想いを発光するロゴで表現
②デジタルサイネージの設置(映像コンテンツ制作も対応)

BEENOSがどんな事業を展開しているか、待合の短い時間でも楽しんでいただけるコンテンツを制作
③多目的ラウンジの壁面のグラフィックデザイン

当社のDNAである「Beyond your world」のスローガンを躍動感のあるデザインで制作
④ワークスペース内の植栽の配置やバランス

「BIOPHILIC」というテーマに沿って、オフィスとグリーンの一体感を演出
⑤サブラウンジのヘリンボーン模様の床材

「オフィスの一画にあるオアシス」をコンセプトに、アクセントとして採用
―オフィスデザインならではの難しかった点はありますか
設計会社の方からCGパースや素材サンプルをいただき、どんな空間を想定しているか、どんな素材を検討しているかについて、密に設計会社側と確認はしていたのですが、正直なところ、頭の中だけで完成形を想像するのが非常に難しかったです。設計通りに施工をしたとしても、実際に肉眼だとどう見えるのか、意図している雰囲気や使い勝手などが実現できそうかなど、不安な部分が大きかったですね。試しに一度施工をしてみる、ということができないですし、もし私からの提案で進めていたデザインが、使い勝手の悪いものになってしまっていたら、全社員の皆さんにご迷惑をお掛けしてしまうというプレッシャーもありました。ただ、やってみないと分からない、という状況自体はどうしようもできないため、議論を行う際は、なるべく検討しているイメージに近い施工事例を集めてきたり、自分でもイメージ画像を起こしてみるなどして、事務局メンバー内で認識を合わせられるように心掛けました。特にBEENOSの事務局メンバーの皆さんとは何度も何度も議論を重ねました。結果的に、皆さんと一緒に出した結論なら大丈夫だ、と自信を持てた場面は少なくありません。本当に感謝しています!
―このプロジェクトを進めている中で、一番うれしかったことは何ですか
検討したデザインが形となり、オフィスが完成した時ももちろん嬉しかったですが、それ以上に「プロジェクトを無事にやり遂げた」という安堵感が大きかったように思います。特に嬉しいと感じるのは、新しいオフィスで社員の皆さんが生き生きと働き、これまで以上に活発にコミュニケーションを取っている光景を目にした時です。部署を超えて偶発的な交流が生まれやすいレイアウト設計にしていたり、集中したい時、リラックスしたい時、チームでコミュニケーションを取りたい時など、さまざまな状況やニーズに合わせて、柔軟に対応できる環境を用意したりと、今回のオフィスデザインは、皆さんが働きやすく、風通しの良いオフィスを実現することで、事業の成長を促していくことを最大の目的としていました。そういった狙いや思いが奏功できていたら、これ以上嬉しいことはありません。
―会議室のインテリアにこだわりを感じたのですが、どういうコンセプトで設計されましたか
会議室名は社内公募を行いました。エントランス側は、グローバル企業としてのイメージで「世界の都市名」、ワークスペース側はBEENOSの社名から構想を得て「ミツバチが蜜を採取する花の名前」に決定しました。それぞれの会議室名に合わせたデザインにすることで、より説得力を持たせたり、印象に残って覚えてもらいやすくする効果を狙っていました。ただ、レイアウトが部屋ごとに異なるため、共通して施工可能なものに限られたり、浮かんだアイデアを実際のイメージとして起こしてみると想像していたよりも物足りなさがあったりと、何度も試行錯誤を繰り返しました。
最終的に、エントランス側は「私たちが事業を展開している世界の国々と、そこで暮らす人々の営みに想いを馳せる」というコンセプトで、都市の街並みや建造物などを写真として飾る案を採用しました。写真の選定、印刷や額装、配置の指定から施工の立ち会いまで、全て私たちで対応しています。

Cairo会議室
ワークスペース側は、会議室名として選ばれた花の色合いが、綺麗に5色で分かれていることに着目し、シンプルで落ち着きのあるワークスペースに、「アクセントとして彩りを取り入れる」というコンセプトで、ルームサインや壁紙に、それぞれの花のイメージカラーをあしらいました。色が濃すぎると必要以上に主張が強くなってしまったり、逆に薄すぎてもアクセントとして効果的ではなくなってしまう可能性があり、色の選定は本当に苦労しました。引き渡しの際、実際に会議室を目にするまでは不安な気持ちがありましたが、イメージ通りの色合いで施工していただけており、安心したことを覚えています。

Clover会議室
―今後はどんなことにチャレンジしたいですか?
1年以上に及ぶプロジェクトを経て、オフィス移転は無事に完了しましたが、「オフィスづくり」という観点においては、決して完成ではなく、むしろここからがスタートだとも考えています。時間の経過とともに状況やニーズが変わっていくのは、ウェブサービスでも同じです。社員の皆さんにこのオフィスを最大限に活用してもらい、最高のパフォーマンスを発揮していただくためにも、今後も改善点や要望があれば、そういった意向を汲んだ運用を行っていきたいです。今回のオフィス移転プロジェクトを通して、「デザインの力で貢献できることは多い」ということを実感できましたので、これからも、様々なことに挑戦していきたいと思います!
