Creative 2023.07.24

デザイン推進室新設の背景――目指す組織とデザイナーの役割、環境としてのBEENOS

2023年4月に発足したデザイン推進室ではBEENOSのデザイン力を強固にするべく新たな仲間を募集しています。今回はCTOであり、デザイン推進室室長を兼務する漆原と マネージャーを務める伊東にその発足の意図についてインタビューを行いました。目指す組織の形、デザイナーに求めるものやBEENOSという環境。――グローバルな事業ゆえのデザインのやりがいや重要性などについて話を伺いました。
 

BEENOSのデザインを強くする



―デザイン推進室が発足しましたね。

伊東:デザイン推進室は今年4月に発足しました。これまでは私が所属していたデザインチームはテクノロジー推進室の中の一つのチームとして存在していましたが横断的に連携する事業への対応やデザイナーのキャリア開発の育成という観点から、部署として独立に至りました。CTOの漆原さんから も、デザインはテクノロジーと双璧をなすものという話があり、このタイミングで部署として独立しています。同時に、デザイン推進室の中にUXデザインチームとプロダクトデザインチームを起ち上げました。UXデザインチームはUXデザイン、ディレクションなどを担当し、プロダクトデザインチームはWEBデザイン、UIデザイン、グラフィックデザインなど実際に手を動かすデザインを担当するチームになります。

―色々な期待を感じます。特にグローバルな事業展開をする当社なので、期待されているものも大きいのかなと。

伊東:実際、これまではディレクション業務の担当があいまいな部分がありました。要求発出元の依頼担当者がワイヤー、情報設計までしなくてはいけなかったり、逆に手を動かすプロダクトデザイナーが要件を一緒に考えることに時間を割いたりなどしていたんです。今までは柔軟に対応してきましたが、役割分担を明確にすることで誰かがボトルネックになってしまうような交通渋滞を防ぐ目的があります。
 


―ミッションをどこに置いていますか?

伊東:
BEENOSのデザインを強くすることですね。サービスやプロダクトを運営する中で、ユーザーにとって便利だからこそ機能を追加するのですが、結果として便利ではあるけどユーザーが操作や機能の理解に苦労しないといけないものが生まれることがあるんです。便利だからみんな使ってくれるけど、ユーザーが頑張らないといけない。数字だけ見るとみんな使ってくれているように見えても、ユーザーが頑張って操作をしながら使っているということがあるんですよね。そういう頑張りをユーザーからなくしたいです。自然と流れの中で使用できて、使いやすいなと意識的に感じさせないくらいの心地よさみたいなものを提供できるのがデザインの強さだと思います。ユーザーに助けてもらっている部分もすごく大きいです。

―目指している組織の形は?

伊東:
先ほどUXデザインのプロセスについてもお話ししましたが、周りの部署と連携してデザイナーがより案件の上流工程から関わっていけるような未来を目指しています。

―グループ内でデザイン推進室がカバーする領域の住み分けなどは決まっているんですか?

伊東:
どこからどこまでとかは特にないですね。グループ会社の中にデザインチームが存在しているところからの依頼も受けますし、他デザインチームがメインの業務で手一杯な時はこちらに相談が来るということもありますし、BEENOS全体に関与するデザインなどにも前のめりに関わっていきたいです。

―結構多様なチームですよね。

伊東:
BEENOSにはデザイン推進室以外にも各グループ会社にデザイナーがいます。デザイン推進室ができるまではこういった他のデザイナーとの関わりがほぼなかったんです。今回のデザイン推進室発足をきっかけに横のつながりができているので、これをどんどん深いものにしたいです。直接的な絡みが無かったとしても、勉強会などで知見の共有をしていきたいです。デザイン推進室には商品デザインや店舗の内装のデザイン、イベント出展の導線を含んだ店舗デザインなどいろんなスキルを持っている人たちが在籍しています。 

―海外のメンバーはいますか? 

伊東:
台湾にもデザイナーがいて、やり取りをすることは多いですね。台湾にデザインチームがあっても面白いなと思っています。


海外のユーザー向けのサービスをデザインする。BEENOSならではのデザインとは



―BEENOSならではの面白みって、このグローバルな事業展開だと思うんですよね。海外の方がメインで使うサービスのデザインをするという機会って結構貴重かなと。伊東さん自体、Buyeeやグローバル事業のデザインの経験も長いと思うんですが、グローバルなサービスのデザインに必要な考え方やセオリーってあるんですか?

伊東:
国の数だけ文化があり、言語も違うので、これ一つ心掛けておけばOKということはないですね。自分が全く知らない海外の言語はニュアンスなども一切わからないので、そういった中でデザインするためには母語にしている人とコミュニケーションをとってヒアリングするしかないんです。デザインの定例会のときなどに、「ここの文字とここの文字がくっつくと全く違う意味になるらしい」と皆で注意点などを共有したりしています。
 

―世界中のユーザーが使う前提でグローバルなデザインを考えるうえで、経験の中で身に付いたことはありましたか?

伊東:
webでもユニバーサルデザインが重要視されるように誰が見てもわかるデザインにしなくてはいけないというのはありますね。アイコン一つとっても国によって意味が違うなんてことはよくあるので、そういった部分はすごく気を付けて考えるようになりましたね。

―デザインについてユーザーから反応が来ることはあるのでしょうか

伊東:
カスタマーサポートからサンクスメールが共有されることがあります。自分ではまだまだだと思ってはいるのですが、少しでも使いやすいと思ってくれたり、この機能があって嬉しかったと感謝してもらえたのはとても良かったです。

―伊東さんも入社されて8年がたち、プロダクト自体の変化を感じているんじゃないですか。フェーズも変わりましたよね。
 
伊東:
サービスが10年以上経過していることから、これからは新陳代謝を上げていかなくてはならないと感じています。年数がたつごとに古くなってしまう点は避けられないので、成熟しているプロダクトも新しく生まれ変わらせる必要がありますね。これまでのフェーズでは0⇒1で立ち上げてきたんですが、これからは成熟したプロダクトを新しくしていくことを考えていかなくてはなりません。それこそリブランディングも含めて考えていけるとワクワクしますね。

―漆原さんは、今後CTOとしてデザイン推進室と一緒にどんなサービスを作っていきたいですか?注力したいことは?

漆原:
サービスというと直井社長を筆頭にみんなで考えていくことですが、言われたものをただ作るのではなく、常に提案できるようデザインの面でもより強化していきたいと思っています。お客様の課題を解決するというのは全員共通するものです。エンジニアの場合は作るものが決まるとPCと向き合うことになるのですが、デザイナーはどうやったら心地よく使ってもらえるかといったことを考える、人と対峙する仕事だと思います。現行のメンバーにプラスして若い人が加わることで、大胆な強化が推進されることを期待をしています。

―組織作りの面ではいかがでしょう?デザイナーに環境として提供したいと思っていることはなんでしょうか?

伊東:
一番は成長できる環境ですね。私自身はBEENOSに入社したとき、将来スペシャリストになりたいのか、マネジメントがしたいのか、どんなデザイナーになりたいのかは全然見えていませんでした。でもBEENOSという環境の中で人間として、デザイナーとして成長させてもらったと思っています。入社して8年になりますが今はマネジメントに進んでいる状態です。

―マネジメントを重要だと意識するようになったきっかけはあるんでしょうか

伊東:
CTOの漆原さんが要因の一つですね。背中を見せてくれつつ、いろんなことを任せていただきました。自分がリーダー職やサブマネージャー職のときに基本的に一任してもらえたのはすごく大きかったです。期待をかけてもらったことで自分が前に進んでいこうという後押しになりました。漆原さんは仕事をするうえで「上からの決定はこうだから」とか「こうしなさい」とマネジメントすることがないんです。困ったことがあれば親身になって接してくれて、人との向き合い方にすごく共感を覚えました。なので漆原さんを見てこういう上司になりたいなと思いました。

―成長環境をつくりたいとのことですがそれはどんな環境ですか?

伊東:
みんなそれぞれいろんな考えを持って働いていると思うんです。その人に合っている成長曲線があるはずなんですよね。それこそ私も最初は自分が何になれるかわからなかったように。このスイッチを入れてあげると別の方向に伸びたということはあるんです。決まりきった型で成長できるというのはないと思っています。 マネージャーや現場に近いリーダーがきちんとメンバーと向き合って成長を促していける環境を提供したいですね。
 

見た目だけにとどまらないデザインの重要性



―デザイン推進室が新設された過程において、直井社長からなにか発破をかけられましたか?

漆原:
ずっと前から発破をかけられていました(笑)。変化の激しいマーケットの環境において、グループ間のサービスが連携を強めたり新規のサービスを生み出し続ける中で、システム面だけではなくデザイン面においても、機動力や、ナレッジ・ノウハウの共有がさらに重要になってきています。これらを獲得するために何が必要かということを、直井社長や伊東を中心に議論を重ね、今回のデザイン室発足となりました。
 


伊東:直井社長は立場的にも広い視野で全体を見てプロダクトを考えていると思うんです。ひとつは世界水準のプロダクトだということがポイントだと思います。なので大きい視野でとらえて、ユーザーが使いやすくてイケてると 感じるワクワクするプロダクトにしてほしい。それが実現できるのがデザイナーだからと以前伺ったことがあります。やっぱり自分たちがプロダクトやサービスに触れるときにワクワクする感覚ってすごく大事だと思っているのでとても共感しました。

―デザイナーの目線から見て、BEENOSにとってのデザインやその重要性って何だと感じていますか?

伊東:
自分がデザイナーであるということもあって、BEENOSのデザインを強くしていきたいという思いはとても大きいです。デザインというと意味合いがとても広義になっているんですが、単純な見た目の話に留まらずにユーザーの使いやすさや提供する楽しさなどを含めてデザインなんだと捉えると、デザインはプロダクトにとってとても重要なものだと思います。ユーザーがつい触りたくなるようなプロダクト、買い物して荷物が届いて嬉しいという体験、こういった部分もデザインしていくという意味ではとても重要なものだと思っています。

漆原:デザインは経営のレベルで大切なものだと思っています。そこを強くしたいと思っていますが私だけでは強くする方法がわからない。デザイン推進室を発足したことで伊東を中心にBEENOSのなかで体現していってほしいです。そのためにいろいろとトライする機会はたくさんあります。今いるメンバーもこれから出会うメンバーも、是非ここでトライしてみてほしい。特に10年が経過したサービスであるBuyeeに関わることは良い経験になると思うんです。外部に委託することももちろんできるかもしれないのですが、自分たちで試行錯誤をしながら、多くのお客様から支持をいただいているサービスを改善していく、こんな機会はそうそうないと思います。とにかく飛び込んでみて、やり遂げるという体験をしてほしいというのは直井社長からも言われています。国内向けのサービスでなく国外向けという点で難易度も高いでしょうし、こういったところに飛び込んで頑張ってやるぞという人が集まっている組織になればいいなと思います。
 

新鮮な目でチームを進化させてほしい



―現在デザイナーを募集していますね

伊東:
デザイン推進室を設立するにあたり、UXデザイナーとプロダクトデザイナー の採用を行っています。様々な案件には携わっていただくことにはなると思うのですが、BEENOSとして特に力を入れたいプロダクトとしてはBuyeeが挙げられますね。Buyeeは去年の12月に10周年を迎えたサービスです。10年間のうちに様々なサービスや機能を追加してきたのでUIなどの見た目的にも建て増ししてきたという感じなんです。年数がたったことによってどうしても古さが出てきてしまっている部分があるので、こういった部分を一緒に改善していきたいですね。

―何をお任せしたいんですか。

伊東:
2つの領域でデザイナーを募集しているのですが1つ目がUXですね。おまかせしたいのは新しくできたUXデザインチームを一緒にけん引してくれる方を募集しています。現在のUXデザインチームにはディレクション業務も含まれており、要望を発信している側とプロダクトデザイナーをつなぐ存在として動いていただきたいです。UXデザインプロセスについてもリサーチから始まって検証するなどのプロセスがBEENOSでプロダクトを作るときに自然とおこなわれるようにするために、そういった概念的なところもインストール いただいたり、採用やマネジメントを含めたポジションとしてチームを成長させていただけたらと思います。
2つ目のプロダクトデザイナー についてですが、こちらはBuyeeという既存事業もそうなのですが新規事業やプロモーションや広告施策など、深くプロダクトに関わってほしいと思っています。まずはプレイヤーとしてプロダクトをご担当いただいてから、ゆくゆくはご自身のチームを持っていただき他のチームと協力をしながらBEENOSのデザイン組織のひとつの柱としてチームを成長させていただければと思います。

―入社される方に期待することを教えてください。

伊東:
私を含めて社歴の長いメンバーがデザインチームに増えてきているので、ぜひ新鮮な目でBEENOSのデザインチームを進化させていただきたいなと思います。お互いに尊重しあいつつ、いい意味でかき回してくれる存在になってくれると嬉しいです。BEENOSの中には失敗したとしてもチャレンジしたことを讃える文化があります。自発的に動くこと、提案することなどに対して周囲が無条件に蓋をしたりネガティブに反応することはないので、大きい小さいに関わらずチャレンジ精神をもって仕事に取り組んでもらえる方と一緒に働きたいなと思います。

―採用にあたってはどんな人を選びたいですか

伊東:
デザイナーも長年やっているとどうしても視点って偏るんですけど、トレンドなどへのアンテナが高いという意味でも若い力、新鮮な視点は求めていますね。特にデザインは普通の仕事以上にトレンドに敏感になる必要があると思うので。会社も新たな人がどんどん入って来ることで若い力を入れていくということは意識しています。自分と違ったタイプの人や、若さゆえに突き進むタイプの人が入ってきたら、時に受け止め、時に導いてあげることが私たちの仕事だと思っています。
 
 

世界中の人が幸せになっていくプロダクトを作っていける



―当社を受ける方に伝えたいことを教えてください

漆原:デザイン推進室が手掛けるのは特定の事業だけのデザインには留まりません。BEENOSのビジネスにはど真ん中に越境EC事業があって、これをハブとしてエンタメやバリューサイクルなどの事業が世界にも繋がっています。特定のサービスではなく、BEENOSのもっている事業のポートフォリオが今後どうなっていくんだろうと考え、そこに対してUIやデザインを考えていく姿勢も重要です。日本が世界に打って出られるものをBEENOSはどんどん生み出していて、エンタメ事業やトラベル事業など様々な事業間シナジーを作り出すプロダクト開発も増えていくと予想されます。BEENOSのやっている事業は海外に誇れるコンテンツの仕組みだと思っているので、そういったところにデザインの面から関わって新しい価値をどんどん作って化学反応を起こすことに興味を持てる方に是非来てほしいですね。

伊東:BEENOSには当初、技術戦略室とデザイン戦略室というものが存在したという話を聞いたことがあります。そうした形がなくなって新たにデザイン推進室が発足したわけです。これまで会社が大きくなるにつれて、デザイナ―の所属もバラバラになっていました。デザイン推進室が発足したことによってデザイナー間のつながりを保ちつつ、一人一人のキャリア開発やBEENOSの中でのデザイン文化を作っていきたいと思っています。
BEENOSの特徴として世界にインパクトを与えられるデザイナーになれるという点は大きいです。国内向けで展開していたサービスやプロダクトが別の事業とシナジーを起こしてグローバル展開するというようにプロダクトが変化していくところも面白いと思います。海を越えるサービスというのは言語や文化など難しい面もありますが、我々のサービスで世界中の人が幸せになっていくプロダクトを作っていけるというのはとてもやりがいのある仕事だと思います。

―ありがとうございました。