Engineering
2022.12.23
新卒5年目のリーダーにサービスの根幹を支えるインフラとチーム体制について聞きました
インターン・新卒入社時から一貫してBuyee・転送コムのインフラに携わり、現在はチームリーダーを務める福元さん。これまでさまざまな課題を乗り越えサービスの根幹を支え続けている福元にグローバルなサービスの難しさ、課題解決のために意識していることやインフラチームについてお話を伺いました。
―福元さんの経歴を教えて下さい
福元:今に至るきっかけは小学生のときに父親がパソコンを買ってきて、Linuxなどを触っていたのを後で見ていたことです。その頃からパソコンや技術的な部分に興味を持っていて、中学生になった頃には自分でPCを組み立てたり、Linuxサーバに触れていました。高校生のときにITパスポートを取得し、その後専門学校に進みました。ネットワークとLinuxについて学んでから大学へ編入し、ネットワークを中心に、コンピュータ・サイエンスについて学んでいました。学生時代は 基本情報や応用情報、ネットワークスペシャリストなどの資格を取得し、MOS日本代表として世界大会に出場もしていました。また、大学内では情シスのようなことをアルバイトで経験させてもらいました。Linuxサーバの管理や、学生のPCトラブル対応・貸出PC管理を通してのWindows クライアントPC管理のスキルを身につけました。
2017年からtensoにインターンとして参加し、翌年大学卒業後にBEENOSに新卒入社しました。一貫してBuyee・転送コムのインフラを担当していて、気づいたらチームの最古参となり、3人の後輩を抱えています。
―BEENOSに入社してからは?
福元:携わっているプロダクトとしてはBuyeeが一番長いですね。あとは、価格比較サービスにも関わっていました。お酒やギターなどの商品を買うとき、国内と海外どちらで買うと安いのかがわかるサービスでした。これをサーバレスというやり方で、サーバーを立てていろいろインストールしたりするのとは違う仕組みで作ろうと設計をしていました。これが入社してすぐにやらせてもらった業務ですね。そのあとは、JOYLABや転送コムの業務もやっています。
―どういうプロジェクトに関わってこられましたか
福元:サーバの切り替え業務をインターン時代から入社1年目にかけてやっていました。 開発者の方に確認しつつ業務を進めていましたが、当時インターン中で入社前でしたから、あまり面識のない人に連絡を取るのはすごくやりにくくて(笑)。プロダクト自体についても、手順書がないので困っていました。サーバを変えることになった際も、設定ファイルをイチから作りながら作業していたんです。(笑)頑張りました。すごくドキドキしましたね。でもこの功績でBuyeeのランニングコストが下がったのでやってよかったと思います。
その他、Buyeeのアクセススピードを改善しました。当時アクセス時間がかなり遅かったんです。国内でアクセスに時間がかかっているということは、海外からアクセスした場合はもっと遅いということなんですよ。ユーザーはたまったもんじゃないな、と。そこで原因を解明してアクセス時間を向上させました。入社一年目でしたが、当時はインパクトの大きい業務が集中していましたね。大変な業務でしたが純粋に楽しんでやっていました。インターン時代から断続的に取り組んでいたものを、入社してから成果として出すことができて内心ほっとしました。
―色々任されていて、責任も大きいと思います。
福元:仕事だからちゃんとやろうとは思っていますね。後輩にもうるさいですよ(笑)。仕事以外はいいんですけどね。メンバーがラウンジでケーキつくったんですけど、僕はケーキに綺麗にホイップが乗せられなくてもそこには文句は言いませんよ。でも仕事はちゃんとしよう、と(笑)。
―3人のチームメンバーをどのように指導していますか
福元さん:僕自身が0から100まで手ほどきを受けた経験がないんですよね。インターン時代から最前線で業務を任せていただいていたので、業務を通して学ぶことが多かったです。だから、教える立場になってどうしたらいいんだろう、と。今も、指導とは思ってないんですよね。当人の成長も考えないといけないけど、インフラは下で支える部署だから納期を気にしないといけないし、バランスをとりながら仕事の割り振りを考えたりしています。仕事で譲れない部分は口を出しますね。
インフラチームは少し変わっていて、何でも連絡できるように業務時間中はいつもMeetを繋いでいるんです。とにかく仲が良くて、エンジニアがよく言う心理的安全性がずば抜けて高い環境になっています。会社でもずっと話していてうるさいと周りから言われたことも。コロナ禍ではそれがそのままオンラインに移行した感じでした。仕事のやり方としては、各メンバーに作業を割り振って、わからない部分があったら言ってもらうようにしています。そこからさらに、成果物となるコードを出すときにレビューする段階でも話をします。一連の作業の中で何度もコミュニケーションをとるタイミングがあるんです。
仕事でも僕が何を言ってもそんなに重い雰囲気にはならないんですよ。僕の性格を皆がわかっていて受け止めてくれているという部分も大きいと思います。仕事が終わってからも仕事以外の話をしていますね。これくらいの関係性じゃないとラウンジでケーキなんか作りません(笑)。
後輩たちにとっては僕は上司なので当然意識すると思うんですが、僕個人としては上下関係はあまり意識していません。後輩だからというより、チームとして捉えています。「指導」というような上に立つ考え方をあまりしていない。アドバイスで口を出すことはありますが、それは仕事の品質を担保したいから。目下の課題は新卒の技術レベルの向上ですかね。
実務未経験な中だと、いろいろと手探りのところがあるんです。特に僕の後から入ってきた人の中には、実務で使う分野を学校で勉強していない人もいるから、基礎がない部分がある。そこを固めて色々とできるようになっていけたらいいなあと思っているんです。
―福元さんの変化は、後輩が入ってきたことが大きいですか?
福元:自分の成長が何を指すかはまだわかりませんが、後輩が入ってきたことは大きかったです。後輩が入ってきて日常が変化しましたし、これからも変わり続けていくと思います。技術面より後輩のことが難しいですね。
- Buyeeがグローバルな事業であるが故の難しさなどはありますか
福元:大きく2つ経験があります。
1つ目の出来事はBuyeeへのDDoS攻撃を受けたときです。Buyeeはサーバは東京にあるんですが、ユーザーは海外にいます。日常的に、海外から東京にアクセスが来るんですね。2年前、外部から攻撃を受けてサイトが開けなくなったことがあって。何十億の攻撃が海外からきていたんですが、攻撃元は海外なので海外からのアクセスを閉じれば、攻撃を止めることはできるんです。でもBuyeeは国内ユーザー向けのサービスではなくて、海外にいるユーザーがアクセスするサイトなので、攻撃を遮断するとはいえ海外のアクセスをいっしょくたに閉じることはできないんです。国内ECとは事情が違うんですね。その際の対応も凄く大変でしたが良い経験になりました。
2つ目は国際情勢の影響ですね。国際情勢に伴って、Buyeeを取り巻く環境も常に変化しているんですが、ある日突然、ある国からサイトが見れなくなったこともありました。こうした事態を回避するために何ができるかと考えることは、普通の国内EC運営とは違う部分ですね。インシデントが発生した際、僕は関西に旅行に行っていたんですが、神戸から障害対応をしました。せっかくの旅行中に仕事は正直辛かったですが(笑)。
これらの経験が、今の自分にも活きていると思います。2つに共通しているポイントはユーザーが海外にいることです。その兼ね合いで生じてくる課題がグローバルであることの難しさですね。システムの異変は急に来るものが多いですから。心の準備ができていないときに起こるわけです。
―インフラの危機は非常に緊急度が高いですね。
福元:そうですね。ユーザーにも迷惑をかけるし、みんなの給与を背負っているという意識もあるし。だから仕事はちゃんとやろう、品質を担保しようというところにつながっているんですね。我々が止めてはいけないんです。「サービスはきちんと動いてる」という状態を維持しないといけない。しっかりと支えて、見るべきところを見る。それをちゃんとできていればケーキを作ったっていいんです(笑)。
―どのように知見を深めているんですか?
福元:特に特別なことはしていないです。担当している作業の中で、その都度考えたり調べたりしています。こういう経験が知見になっているかもしれません。あの時使ったこれを使えばあれを実現できるとか、そういった積み重ねです。
―福元さんは何を聞いても知っていると言われていますよね。
福元:TwitterやAWSのブログなどで見たことを活かしているだけで、情報収集は意識してないです。意識しているとかえってやらなくなりますからね。僕ではなくインターネットがすごいんだなと思っています。僕は、情報を取捨選択して最適な情報を組み合わせています。気になったワードで出てきたサイトやIT系のサイトの新着の記事など見ていますね。記憶力は悪くないからその辺が自分を支えているかもしれません。読むのも早いです。
―問題解決のために意識していることは?
福元:技術的な問題を解決するには、まずは何が起きているのか状況を正しく把握する必要があります。間違った認識をすると方向を間違って対応してしまうので。まずは問題を俯瞰して見るんです。なにがあったか、どんな影響が出ているか、なにをしたか。そしてだいたいの当たりが付けられるくらいに正しく把握する。ソフトウェアのログやエラーがあれば、それを読みます。でもなぜかそれをしっかり読まずに対策を考え始める人もいます。問題点を把握するためには絶対読まないといけません。そしてそこから、どうすればいいのかを調べる。なんにも難しいことじゃないんです。シンプルに考えるといいんです。複雑なものも数は多いけどシンプルなものの組み合わせですから。
どこかは正しく動いていて、どこかでエラーが起きているときはその差は何かと考えます。これもシンプルです。広く見据えていないとわからない部分もありますが、差を考えればここが問題だねとわかるものです。もちろん経験もありますが。自分ではシンプルな問題だと思っています。後輩たちにも毎日のように言っています。
―チームメンバーはどんな人が多い?どんなチーム環境?
福元:チームは全員が新卒で全員インフラ未経験なんです。特殊なチームですね。経験がないところから始めて無事に遂行できているのはみんなの努力ですね。
そして仲がいいです。心理的安全性が担保されていてコミュニケーションもリモートワークでもしっかりと取れています。わからないところもすぐ聞けますし、構成も話し合って進められます。すごくいい環境だと思います。それでいてみんなが新しい技術に取り組もうと積極的です。能動的に、「やりたいです」と言ってくれたり提案してくれたりしています。
―インフラの功績は当たり前にされがちだけど大変ですね。インフラは普通に回っていることが当たり前で、事件が起きたときに注目されますが、本来事件は起きてはいけないことですし。
福元:スポットライトが当たるときはまずい時が多いですからね。そういうときに適切に動けるだけの底力をつけておかないといけないですね。大変ですけど。
―福元さんの印象は、入社1年目とはかなり変わりましたね
福元:そうですか?ベースの考えは変わってないですよ。入社当初はメンバーの退職が重なった時期があり、チームがどうなるんだろうと不安な時期もありましたが、当時からすると今はすごくいい感じです。この状態を強みにしないといけないですね。ただ楽しいだけじゃだめです。仕事をちゃんとやりつつ、いまの雰囲気も崩したくないです。
―インフラは人気な部署ですよね。新卒からとても反応がいいですよ。雰囲気がいいと言われます。
福元:新卒は最初インフラってなんだ?という感じでちょっと苦手意識があるみたいなんですよ。それがうちの部署を見ると払拭されるらしいです。ジョブローテも楽しんでもらえてるのかなと思います。もっとみんなにインフラを身近に感じて興味を持ってもらえるとうれしいですね。大事な部分だからやりがいがありますし。しっかりやらないといけない部分はあるので緊張感が張り詰めることもありますが、チーム自体は相反するような雰囲気です(笑)。だからチームとしてすごくいい状態で仕事できていると思います。緩急メリハリつけて仕事やりましょうというのはどの分野でも大事なことだと思うので、そのあたりはみんなに意識してほしいなと思っています。みんなとても頑張っていますよ。
―これから、どんなチームをつくっていきたいですか?
福元:難しいですね。まずはチームメンバーには、自分がなにをやろうとしているのか、を理解してからタスクに臨む姿勢が求められます。目的や背景、手法、影響度合いについて、常に考えて作業してほしいですよね。そして自分が担当する領域の、その先にいるお客様や社内などのユーザーのことまで想像できるといいなと思います。そうしたことを踏まえてプロアクティブに行動してほしいです。
人数が少なかった時はスタンドプレイが中心でそこからチームワークが生じていたんですが、現在はチームプレイを主眼にしています。今はチームプレイができていると思いますね。なおかつ個人が自走できるだけの確かな力も持ってほしいとも思います。独走ではなく。それぞれの得意分野を伸ばしてほしいです。属人的でなくチームとして補い合うことが出来る、手を差し伸べあうことが出来るチームになっているので僕は彼らのことが大好きです。そういった部分をもっと伸ばしていきたいですね。
これから新しい方が来るかもしれないんですが、その雰囲気は崩さず、チームとして高みを目指していきたいです。アフリカのことわざだったと思うんですが「早く行きたければひとりで行け。遠くへ行きたければみんなで行け」という、こんなイメージですね。作業によっては納期もあるので早く行くべき時もありますし、でもチーム全体として達成したいことを考えると遠いところへ行くべきなんだろうなと思うんです。
―そのためにチームを引っ張っていくのでしょうか
福元:そうですね。みんなのお尻をたたいて後ろから押して、教えられることは教えて、言わなきゃいけないことは言って。支えながらも自転車の練習のようにいつかは手を離すんです。そういう感じですね。
ーありがとうございました。
中学生になったときには既に自分でPCを組み、Linuxに触れていた
―福元さんの経歴を教えて下さい
福元:今に至るきっかけは小学生のときに父親がパソコンを買ってきて、Linuxなどを触っていたのを後で見ていたことです。その頃からパソコンや技術的な部分に興味を持っていて、中学生になった頃には自分でPCを組み立てたり、Linuxサーバに触れていました。高校生のときにITパスポートを取得し、その後専門学校に進みました。ネットワークとLinuxについて学んでから大学へ編入し、ネットワークを中心に、コンピュータ・サイエンスについて学んでいました。学生時代は 基本情報や応用情報、ネットワークスペシャリストなどの資格を取得し、MOS日本代表として世界大会に出場もしていました。また、大学内では情シスのようなことをアルバイトで経験させてもらいました。Linuxサーバの管理や、学生のPCトラブル対応・貸出PC管理を通してのWindows クライアントPC管理のスキルを身につけました。
2017年からtensoにインターンとして参加し、翌年大学卒業後にBEENOSに新卒入社しました。一貫してBuyee・転送コムのインフラを担当していて、気づいたらチームの最古参となり、3人の後輩を抱えています。
―BEENOSに入社してからは?
福元:携わっているプロダクトとしてはBuyeeが一番長いですね。あとは、価格比較サービスにも関わっていました。お酒やギターなどの商品を買うとき、国内と海外どちらで買うと安いのかがわかるサービスでした。これをサーバレスというやり方で、サーバーを立てていろいろインストールしたりするのとは違う仕組みで作ろうと設計をしていました。これが入社してすぐにやらせてもらった業務ですね。そのあとは、JOYLABや転送コムの業務もやっています。
インターン時代から一貫してBuyeeのインフラに
―どういうプロジェクトに関わってこられましたか
福元:サーバの切り替え業務をインターン時代から入社1年目にかけてやっていました。 開発者の方に確認しつつ業務を進めていましたが、当時インターン中で入社前でしたから、あまり面識のない人に連絡を取るのはすごくやりにくくて(笑)。プロダクト自体についても、手順書がないので困っていました。サーバを変えることになった際も、設定ファイルをイチから作りながら作業していたんです。(笑)頑張りました。すごくドキドキしましたね。でもこの功績でBuyeeのランニングコストが下がったのでやってよかったと思います。
その他、Buyeeのアクセススピードを改善しました。当時アクセス時間がかなり遅かったんです。国内でアクセスに時間がかかっているということは、海外からアクセスした場合はもっと遅いということなんですよ。ユーザーはたまったもんじゃないな、と。そこで原因を解明してアクセス時間を向上させました。入社一年目でしたが、当時はインパクトの大きい業務が集中していましたね。大変な業務でしたが純粋に楽しんでやっていました。インターン時代から断続的に取り組んでいたものを、入社してから成果として出すことができて内心ほっとしました。
―色々任されていて、責任も大きいと思います。
福元:仕事だからちゃんとやろうとは思っていますね。後輩にもうるさいですよ(笑)。仕事以外はいいんですけどね。メンバーがラウンジでケーキつくったんですけど、僕はケーキに綺麗にホイップが乗せられなくてもそこには文句は言いませんよ。でも仕事はちゃんとしよう、と(笑)。
コミュニケーションをとるタイミングが多く何でも話せる環境
―3人のチームメンバーをどのように指導していますか
福元さん:僕自身が0から100まで手ほどきを受けた経験がないんですよね。インターン時代から最前線で業務を任せていただいていたので、業務を通して学ぶことが多かったです。だから、教える立場になってどうしたらいいんだろう、と。今も、指導とは思ってないんですよね。当人の成長も考えないといけないけど、インフラは下で支える部署だから納期を気にしないといけないし、バランスをとりながら仕事の割り振りを考えたりしています。仕事で譲れない部分は口を出しますね。
インフラチームは少し変わっていて、何でも連絡できるように業務時間中はいつもMeetを繋いでいるんです。とにかく仲が良くて、エンジニアがよく言う心理的安全性がずば抜けて高い環境になっています。会社でもずっと話していてうるさいと周りから言われたことも。コロナ禍ではそれがそのままオンラインに移行した感じでした。仕事のやり方としては、各メンバーに作業を割り振って、わからない部分があったら言ってもらうようにしています。そこからさらに、成果物となるコードを出すときにレビューする段階でも話をします。一連の作業の中で何度もコミュニケーションをとるタイミングがあるんです。
仕事でも僕が何を言ってもそんなに重い雰囲気にはならないんですよ。僕の性格を皆がわかっていて受け止めてくれているという部分も大きいと思います。仕事が終わってからも仕事以外の話をしていますね。これくらいの関係性じゃないとラウンジでケーキなんか作りません(笑)。
後輩たちにとっては僕は上司なので当然意識すると思うんですが、僕個人としては上下関係はあまり意識していません。後輩だからというより、チームとして捉えています。「指導」というような上に立つ考え方をあまりしていない。アドバイスで口を出すことはありますが、それは仕事の品質を担保したいから。目下の課題は新卒の技術レベルの向上ですかね。
実務未経験な中だと、いろいろと手探りのところがあるんです。特に僕の後から入ってきた人の中には、実務で使う分野を学校で勉強していない人もいるから、基礎がない部分がある。そこを固めて色々とできるようになっていけたらいいなあと思っているんです。
―福元さんの変化は、後輩が入ってきたことが大きいですか?
福元:自分の成長が何を指すかはまだわかりませんが、後輩が入ってきたことは大きかったです。後輩が入ってきて日常が変化しましたし、これからも変わり続けていくと思います。技術面より後輩のことが難しいですね。
福元さんが率いる少数精鋭の頼もしいメンバーたち
ユーザーが海外にいることを考慮して問題に対応する難しさ
- Buyeeがグローバルな事業であるが故の難しさなどはありますか
福元:大きく2つ経験があります。
1つ目の出来事はBuyeeへのDDoS攻撃を受けたときです。Buyeeはサーバは東京にあるんですが、ユーザーは海外にいます。日常的に、海外から東京にアクセスが来るんですね。2年前、外部から攻撃を受けてサイトが開けなくなったことがあって。何十億の攻撃が海外からきていたんですが、攻撃元は海外なので海外からのアクセスを閉じれば、攻撃を止めることはできるんです。でもBuyeeは国内ユーザー向けのサービスではなくて、海外にいるユーザーがアクセスするサイトなので、攻撃を遮断するとはいえ海外のアクセスをいっしょくたに閉じることはできないんです。国内ECとは事情が違うんですね。その際の対応も凄く大変でしたが良い経験になりました。
2つ目は国際情勢の影響ですね。国際情勢に伴って、Buyeeを取り巻く環境も常に変化しているんですが、ある日突然、ある国からサイトが見れなくなったこともありました。こうした事態を回避するために何ができるかと考えることは、普通の国内EC運営とは違う部分ですね。インシデントが発生した際、僕は関西に旅行に行っていたんですが、神戸から障害対応をしました。せっかくの旅行中に仕事は正直辛かったですが(笑)。
これらの経験が、今の自分にも活きていると思います。2つに共通しているポイントはユーザーが海外にいることです。その兼ね合いで生じてくる課題がグローバルであることの難しさですね。システムの異変は急に来るものが多いですから。心の準備ができていないときに起こるわけです。
―インフラの危機は非常に緊急度が高いですね。
福元:そうですね。ユーザーにも迷惑をかけるし、みんなの給与を背負っているという意識もあるし。だから仕事はちゃんとやろう、品質を担保しようというところにつながっているんですね。我々が止めてはいけないんです。「サービスはきちんと動いてる」という状態を維持しないといけない。しっかりと支えて、見るべきところを見る。それをちゃんとできていればケーキを作ったっていいんです(笑)。
―どのように知見を深めているんですか?
福元:特に特別なことはしていないです。担当している作業の中で、その都度考えたり調べたりしています。こういう経験が知見になっているかもしれません。あの時使ったこれを使えばあれを実現できるとか、そういった積み重ねです。
―福元さんは何を聞いても知っていると言われていますよね。
福元:TwitterやAWSのブログなどで見たことを活かしているだけで、情報収集は意識してないです。意識しているとかえってやらなくなりますからね。僕ではなくインターネットがすごいんだなと思っています。僕は、情報を取捨選択して最適な情報を組み合わせています。気になったワードで出てきたサイトやIT系のサイトの新着の記事など見ていますね。記憶力は悪くないからその辺が自分を支えているかもしれません。読むのも早いです。
―問題解決のために意識していることは?
福元:技術的な問題を解決するには、まずは何が起きているのか状況を正しく把握する必要があります。間違った認識をすると方向を間違って対応してしまうので。まずは問題を俯瞰して見るんです。なにがあったか、どんな影響が出ているか、なにをしたか。そしてだいたいの当たりが付けられるくらいに正しく把握する。ソフトウェアのログやエラーがあれば、それを読みます。でもなぜかそれをしっかり読まずに対策を考え始める人もいます。問題点を把握するためには絶対読まないといけません。そしてそこから、どうすればいいのかを調べる。なんにも難しいことじゃないんです。シンプルに考えるといいんです。複雑なものも数は多いけどシンプルなものの組み合わせですから。
どこかは正しく動いていて、どこかでエラーが起きているときはその差は何かと考えます。これもシンプルです。広く見据えていないとわからない部分もありますが、差を考えればここが問題だねとわかるものです。もちろん経験もありますが。自分ではシンプルな問題だと思っています。後輩たちにも毎日のように言っています。
―チームメンバーはどんな人が多い?どんなチーム環境?
福元:チームは全員が新卒で全員インフラ未経験なんです。特殊なチームですね。経験がないところから始めて無事に遂行できているのはみんなの努力ですね。
そして仲がいいです。心理的安全性が担保されていてコミュニケーションもリモートワークでもしっかりと取れています。わからないところもすぐ聞けますし、構成も話し合って進められます。すごくいい環境だと思います。それでいてみんなが新しい技術に取り組もうと積極的です。能動的に、「やりたいです」と言ってくれたり提案してくれたりしています。
チームプレイを実現しつつ自走する確かな力を育む
―インフラの功績は当たり前にされがちだけど大変ですね。インフラは普通に回っていることが当たり前で、事件が起きたときに注目されますが、本来事件は起きてはいけないことですし。
福元:スポットライトが当たるときはまずい時が多いですからね。そういうときに適切に動けるだけの底力をつけておかないといけないですね。大変ですけど。
―福元さんの印象は、入社1年目とはかなり変わりましたね
福元:そうですか?ベースの考えは変わってないですよ。入社当初はメンバーの退職が重なった時期があり、チームがどうなるんだろうと不安な時期もありましたが、当時からすると今はすごくいい感じです。この状態を強みにしないといけないですね。ただ楽しいだけじゃだめです。仕事をちゃんとやりつつ、いまの雰囲気も崩したくないです。
―インフラは人気な部署ですよね。新卒からとても反応がいいですよ。雰囲気がいいと言われます。
福元:新卒は最初インフラってなんだ?という感じでちょっと苦手意識があるみたいなんですよ。それがうちの部署を見ると払拭されるらしいです。ジョブローテも楽しんでもらえてるのかなと思います。もっとみんなにインフラを身近に感じて興味を持ってもらえるとうれしいですね。大事な部分だからやりがいがありますし。しっかりやらないといけない部分はあるので緊張感が張り詰めることもありますが、チーム自体は相反するような雰囲気です(笑)。だからチームとしてすごくいい状態で仕事できていると思います。緩急メリハリつけて仕事やりましょうというのはどの分野でも大事なことだと思うので、そのあたりはみんなに意識してほしいなと思っています。みんなとても頑張っていますよ。
―これから、どんなチームをつくっていきたいですか?
福元:難しいですね。まずはチームメンバーには、自分がなにをやろうとしているのか、を理解してからタスクに臨む姿勢が求められます。目的や背景、手法、影響度合いについて、常に考えて作業してほしいですよね。そして自分が担当する領域の、その先にいるお客様や社内などのユーザーのことまで想像できるといいなと思います。そうしたことを踏まえてプロアクティブに行動してほしいです。
人数が少なかった時はスタンドプレイが中心でそこからチームワークが生じていたんですが、現在はチームプレイを主眼にしています。今はチームプレイができていると思いますね。なおかつ個人が自走できるだけの確かな力も持ってほしいとも思います。独走ではなく。それぞれの得意分野を伸ばしてほしいです。属人的でなくチームとして補い合うことが出来る、手を差し伸べあうことが出来るチームになっているので僕は彼らのことが大好きです。そういった部分をもっと伸ばしていきたいですね。
これから新しい方が来るかもしれないんですが、その雰囲気は崩さず、チームとして高みを目指していきたいです。アフリカのことわざだったと思うんですが「早く行きたければひとりで行け。遠くへ行きたければみんなで行け」という、こんなイメージですね。作業によっては納期もあるので早く行くべき時もありますし、でもチーム全体として達成したいことを考えると遠いところへ行くべきなんだろうなと思うんです。
―そのためにチームを引っ張っていくのでしょうか
福元:そうですね。みんなのお尻をたたいて後ろから押して、教えられることは教えて、言わなきゃいけないことは言って。支えながらも自転車の練習のようにいつかは手を離すんです。そういう感じですね。
ーありがとうございました。