多国籍エンジニアの技術育成を行うブリッジSEに聞いた、ボーダレスな組織マネジメントとは?
厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」によると、日本で働いている外国人は前年比13.6%増の結果で、7年連続で過去最高を記録しました。(2019年10月末時点)様々な会社が外国人雇用に取り組む過程で、多くの試行錯誤をするといわれています。
BEENOSグループで、外国人のみで構成されたSEチームを作りあげた小松。たった一人で、外国人エンジニアを未経験から育てるために必要なことは何だったのでしょうか?マネジメント方法について聞いてみました。
未経験の外国籍SEの技術育成を果たした方法 ―どんどん質問して新しいスキルを磨き、一つでも多い課題を解決してほしい
早速ですが、外国国籍SEを育成するにあたり、どの様なマネジメントを行ってきたのでしょうか?実際に小松さんのチームでは多くの外国籍エンジニアが技術を伸ばし活躍されています。
マネジメントや育成という言葉からは、マニュアルなどのツールを発想しがちですが、実は当チームにはマニュアルは全くありません。1か月、実践いただくことでメンバーをリードしていきます。ただし私は、1か月はメンターとしてしっかり付きます。
その方法でこれまでに多くの未経験者×日本語が話せない方の技術的な育成を行ってきました。
ポイントはいくつかあり、まず中期と長期で目標設定をする。その上で通常業務のタスクを管理しながら、出てきた課題についてはすぐ尋ねてもらうことを徹底する。
調べて答えが中々でなくて、声かけてもらうのを待ってしまうような雰囲気は作らない。わからないことがあれば黙るのではなく、人に聞いて次の課題に進む方がよっぽど良いと現場では意図的に何度も発信しています。
なるほど、エンジニアの方は黙々と仕事をされているイメージがありました。
未経験者だからこそ、声に出し、人に尋ねることのハードルが低かったり、外国国籍の人は自分の主張がしっかりしているので質問に個人的な意見を乗せてきてくださったり。実はいい面がたくさんあり、質問しやすい雰囲気作りにマッチしています。
ただし、新規採用で未経験者やキャリアが浅い方の場合は自分のリソースを指導に充てられるように調整することを心がけています。
評価で留意していることはありますか?
仕事に対しての向き合い方、態度は確かに国によって本当に様々なので、結果はわかりやすくソースコードのように記載された成果物もしくは数値で管理しています。
外国籍の方の主体的・アクティブな面を活かすために、ゴールを明確に伝えるが道のりは細かく伝えない
外国籍エンジニアの仕事の仕方で、日本の方と異なる面はありますか?
外国国籍の人に限ることではありませんが、プライベートと仕事は分けている方が多いです。
仕事の時間は同僚(仕事仲間)と過ごす時間で、仕事後は家族と過ごす時間という風にメリハリのある生活を心掛けているからか、遅くまで残業をするといった光景はあまり見ません。
私が海外でエンジニアをやっていた時も、決まった時間をしっかり働くというスタイルをよく目にしました。
これまでの経験から分かったことは、外国籍の方の主体性を活かした働き方が重要だということ。
外国籍のエンジニアには、自分の考え方を発言する人や、一つのプロジェクトに対して主体的に取り組む方が多い。だからこそ、ある程度アウトプットができるレベルのメンバーには細かい指示は出しません。
明確なゴールを伝えて、そこまでの道は自分たちで選択して実行していただくようにしています。その方が、コミュニケーションロスがない&達成感を感じることができる様で、この主体性を活かした働き方が合うのも外国国籍メンバーならではでしょうね。
採用ボーダレスな時代がどんどん来る
ここ20年で日本の経済成長率も鈍くなり、国際競争力もずっと低いままです。
国際競争力を高めるためには社員全体が外国人とできるだけコミュニケーションを取り英語能力とともに多文化に慣れる必要があると思います。
新型コロナウイルスの流行により、生活はこの半年でずいぶん変わりましたよね。それもあって、どこにいても仕事ができて、どこにいても人材採用・教育ができる環境に緩やかにですが変化していくのではないかと思っています。
現在、フランス在住のエンジニアがプロジェクトに参画してくださっていますが、もともとは時差を生かした業務のみ依頼していました。主体的で自立している仕事ぶりを見ると、この様な人材はどこでも仕事ができ、結果を出すことができる。一種のロールモデルだと思います。チームメンバーにも彼のようになってほしい。
BEENOSGroupのプロダクトとして、先日、外国国籍のメンバーを採用するサービス「linkus」がローンチされましたが、まさにこういった採用ボーダレスな時代がどんどん来るだろうなと感じてます。
小松さんの想うエンジニア組織のネクストスタンダードについて教えてください。
エンジニア組織のネクストスタンダードは、「外国人チーム」「ブリッジSE」という言葉が過去の言葉になるくらい会社に外国人が溶け込めるようにすること。
実際に、未経験+日本語が話せないエンジニアが先日、毎月開催される社内イベント“GMD月例会“にて表彰対象にノミネートされていましたが、こういう流れをもっと作っていきたいと感じました。
もちろん彼の努力、エンジニアとしての素質もあったとは思います。プロジェクトに参加しているメンバーが支えあって、案件を作り上げて形にできた結果ですから。
外国籍エンジニアが活躍できるようもっと風土や自身のマネジメント力を高めていき、組織にも反映させていきたい。もっとグローバルで、もっとボーダレスに。
小松さんご自身のネクストスタンダードは何でしょうか?
英語が苦手で避けてしまう方や、IT、プログラミングがわからない方が体得できるようなコンテンツ・機会を創り、多くの方にとって、語学やプログラミングがもっと身近になること。まずは社内から・・・
どの会社にも英語教育を受けられる社内向けサービスなどがあると思いますが、実際に仕事で使っていかないと定着しないですし、必要性を感じないと思います。だからこそ、使わざるを得ない状況を作りだすことが大事だと思っています。
また、私自信が供給できる、ITやプログラミングに関しては、ネット上で、興味を持てるようなコンテンツ作りをしたいですね。BEENOS社内向けのITプログラミング情報を発信するyoutuberとかになったりしても良いかも・・・(笑)
未経験者をずっと育ててきたからこそ思いますが、少しでも興味があったりエンジニアの道も挑戦したいという人がいたらいつでも声をかけて欲しいです。
小松さん、ありがとうございました!エンジニアとしてだけなく、技術指導者として、今後のボーダレスな時代に向き合う姿がとても印象的でした。Youtubeチャンネル開設も楽しみです。
BEENOSグループは今後も世界の可能性を拡げる事業の創造に務めてまいります。