Business 2022.02.07

マーケター出身の事業責任者2名に聞きました P/L責任を持ち、事業グロースを果たす これからの時代のマーケターキャリアとは?【前編】

ブランディアとマンスリーホテル、事業責任者を務める植松さんと海老澤さんにはマーケターという共通のキャリアがありました。マーケティングを経て事業・経営にキャリアを拡げてきたお二人ですが、2名とも「マーケティングにはキャリアの早い段階で携わる方が良いのでは」と語ります。マーケターから事業責任者を志す若手が増える昨今、事業の成長に不可欠なマーケティングの重要性や事業フェーズと施策の関連性について話を伺いました。マーケターを経て得られた観点、そしてマーケティング組織運営や育成まで、マーケターのリアルについて切り込んだインタビューを前編・後編でお届けします。

 

マーケティングは事業成長にとって非常に重要



―これまでのキャリアについて教えてください

植松さん:先日別インタビューでお話しした通りなので、もしよかったらそちらをご覧ください、と今回はしましょうか(笑)。デファクトスタンダードの植松です。今日はよろしくお願いします。

海老澤さん:僕のBEENOSへの参画はショップエアラインからです。WEB広告・CRM、アライアンス営業などWEB周りを諸々やったのちにBeeCruiseに移って各事業会社のマーケティング支援の形でSEOや広告、UI改善などをしていました。 昨年からマンスリーホテルの事業責任者をやらせていただいています。ユーザー集客のWEBまわりはもちろんのこと、出資先のメトロエンジンとの共同事業なのでメトロエンジンと一緒に、ホテル開拓の営業面も含め幅広く業務をしています。

―今回はマーケターでもあり事業責任者でもあるお二人にインタビューということで、事業成長×マーケティングについて色々お話を伺って行こうと思っています。そもそも、ですが、これまでのご経験から、マーケティングは事業のグロースにとって重要だと感じていますか? 

植松さん:重要だと思います。マーケティングという言葉は定義としてすごく広い言葉なので各事業やご担当の方によってとらえ方が違うんですけど、僕が定義するマーケティングで言うと、マーケティングはお客様に喜んでもらえるサービスを仕組みとしてどう作るかなんですね。その中に含まれているのが集客だったりとか、プロモーション、分析だったりするんです。やっぱりブランディアで言うとサービスをどういう方向性で作っていくかだと思ってるんです。なので非常に重要です。でも例外的にあるのがtensoとかはまた違うんですね。マーケティングでもDSTとは全然別のことをやっていて、ほかの会社と協力関係を結びながら集客していたり、サービス展開をしているのでDSTみたいに自分の足で調査しているのとはまた違ったやり方をしているんです。そういったところは事業ごとにそれぞれに合ったやり方があるのかなと思います。
 
―植松さんはブランディアの成長とずっと共にキャリアを拓いてこられていますね。今では認知度も高く、多くの方に知っていただいているサービスですが、その状態までどのように持っていくかに興味関心を持つマーケターも多いと思うんです。今に至るまでの中で影響の高かった施策などターニングポイントを教えてください。

植松さん:フェーズがいくつかありまして、初期のフェーズは当然事業的にも広告に投資する元手がないので、基本的には低コストで効果の高い検索エンジンまわりの対策をすることが大前提なんです。そこをまず徹底的にやるんですが、「買取」で検索する人は非常に少ないんですね。9割の人は自分が買うことを調べたりとか、探されているので、いかに少ないニーズをいろんなところから集めて、利用していただくかに腐心していました。買取にまつわるあらゆるキーワードを対策していたんです。月に10回くらいしか検索されないようなキーワードも拾っていました。そういうことをして事業を立ち上げていました。
ある程度やり切っちゃうと検索が伸びないと事業が伸びないという構造になってくるので、次のフェーズでは認知を取りに行きました。それがCMなんですけど、検索する人を増やしていく方に視点を変えていきました。結果としてブランディアというキーワードで指名で検索される方が増えました。認知度を上げることで広告の効果が改善するなど副次的な効果もあり、もう一段階事業として成長することができました。
最後のフェーズが現在ですが、WEB上だけでなく店舗を含めたリアルにも進出し、WEBとリアルをつないでお客様に最適な導線やサービスを全体的にどう設計していくかという段階に入っています。

―CMと検索の狭間は難しい時期だと思いますが、その間に有効だった施策はなんですか?

植松さん:そうですね。その段階はWEBプロモーションをかなり強化してやった時期ですね。リスティング広告もそうですし、アフィリエイトもそうですし、そもそも買取の広告は確立していなかったんです。アフィリエイトであればそれぞれのアフィリエイターさんにこういうサービスですと説明するところから始まって、こういう訴求していただくと成果が取れますよ、と対面で話をして提携させていただいたりしました。リスティング広告で言えばあらゆるキーワードを入れていってPDCAを高速で回しながらやったりですとか、それをWEB広告の中で費用対効果を最大限良くしていくことをやりながらCMを打っていました。

海老澤さん:私もマーケティングは事業成長にとって非常に重要だと思っています。マーケティングの定義とは売れる仕組みを作ることですが、もう少しひも解くとサービスの価値とターゲットにする市場、そして市場にどのように伝えるか、この3つが一番重要だと思います。例えばマンスリーホテルだったらわかりやすいのがホテル暮らしの人という市場に対して長期滞在の費用が安いという我々の価値をWEBという手段で伝えることです。あとは長期滞在が安いという価値をどのように別の市場に伝えるか。この市場の選定が大事になってきます。サービスをグロースさせるにあたってホテル暮らし市場だけでなくマンスリーマンション、ウィークリーマンションを使っている市場を取りに行こうと思っているので、僕らの価値をどう伝えるかを含めてマーケティングの考え方は重要だと思います。

―今、マンスリーホテルはどういう施策に取り組んでいますか?

海老澤さん:一つひとつしっかりと市場を取りに行こうと思っています。今であればホテル暮らしの市場の開拓です。このホテル暮らしの市場が取れると宿泊施設の開拓営業にも非常に役立ちます。今はコロナの影響でホテル側からすると空室が目立ちますが、その空室を埋めてくれるのがホテル暮らしの方々です。ホテル側に長期滞在の価値について伝え、共感・賛同いただくことで、宿泊施設を増やしています。ホテルの開拓ができたら次に長期出張、マンスリー・ウィークリーマンションを使っている市場を狙います。僕らに共感いただくホテルさんが増えれば増えるほど市場自体も幅を拡げたり別の市場にシフトしていければと考えています。 

 

マーケティングはキャリアの早い段階で経験できると景色が変わる。でもCPA至上主義にはなって欲しくない。



―マーケターだからこそ今事業責任者として還元できる価値・強みは何だと思いますか。

植松さん:
僕はどんな事業でもサービスでもマーケティングが必要だと思っています。年々その重要度は増していってるんですね。かつ複雑化しているんです。色んなデバイスが出てきてプロモーションの仕方も変わりますし、それに合わせてサービスもお客様のニーズも変わってきます。そこに対して何が最適かを数値化して客観的に判断できるということはマーケティングの強みだと思います。

僕がマーケティングを面白いと思うきっかけがあるんですけど、大学時代僕は洋服屋さんでバイトしてたんです。お店だと結局どこからお客様が来てなぜ商品を買って満足しているか・満足していないかが数値化しにくいということもあって、わからなかったんです。WEBの世界に飛び込んで一番びっくりしたことはリアルタイムにどのくらいの人がホームページを見ているか、どこから来ているかがわかることでした。そうして詳細がわかることで対策を打つことができるので、状況が変わっていくのがすごく楽しいと感じたことがマーケティングの世界にはまり込むきっかけでした。

海老澤さん:マーケティングの要素はマーケターに限らず、事業に携わる人みんなが持ってもいいものだと思います。僕の最初のキャリアはマーケティングでもデジタルでもなく紙媒体の編集者・ライター業務でしたが、今は紙媒体をやっていてよかったと思っています。編集者時代は週に5本企画を考えなくてはいけなかったんですが、雑誌はデジタルのように数値で結果が返ってこないので、企画を立てる際は想像を膨らませて仮説を立てる必要がありました。「読者が何を求めているか」「この企画で雑誌が買われるか」など毎週考えながらやっていたことは、ある種マーケティングの考え方でした。この経験をもってデジタルの領域に来れたので、この考え方は僕にとっては非常に良かったです。

マーケティングは数値で反映されるところは非常におもしろいなと感じますが、顧客の数字から読み取る「何を求めているか」というところをしっかり考える要素はどの部署の人でも持っていて良いのではないでしょうか。数字以上の顧客が求めるところというマーケティング的な発想は事業に必要だと思います。

―数字から事業をとらえることができることがマーケタ―の強みだと思いますが、その観点・スキルはキャリアのどの地点であればいいと思いますか


植松さん:早い段階がいい気がしますねえ。見える景色は役割などで変わってくると思うんですけど、すごいミニマムなところでいうとインスタのフォロワーどうやったら増えるかなという問題と変わらないんですよね。どうやってハッシュタグをつければいいかとか、どういうものを投稿すればいいか。「いいね」の反応があると、それはなんでなんだろうと考える。それは普通に普段やってることだと思うんです。それを事業として見たときになんでお客様が増えるか、どうやって僕たちのホームページに来てくれるか、何を伝えたいかを考えるんです。

海老澤さん:僕も早いほうがいいと感じますね。若手の方でも今は全部数字ではかれるというところがあるのでそこから分析して顧客に何を届けるかを考える。ただ僕はあまり数字に縛られないほうがいいと思っています。広告でCPA至上主義みたいな形でCPAに囚われすぎると柔軟な発想ができなくなる。そこのうまいバランスのとり方というのを頭の片隅に入れておきながら数字に当たってほしいですね。
 

マーケターを経て、今。事業責任者・経営は面白い場所


―マーケタ―から事業責任者、そして経営へとキャリアを拡げて来られたお二人ですが、成長のために、何が必要だと思いますか?

植松さん:アンテナを張ることですね。一見関係のなさそうなことにも。電車に乗れば広告や新しいサービスが目に入ってきますし、隣の人がいじっているスマホで何をしているかが気になったりしますよね。そういったサービスを自分は使っているか、使っていないか考えたり、使ってなければそのサービスのサイトを見てみたりするんです。そういうことって意識してやってるわけじゃないんです。「知らない」→「やってみよう」を考える隙もなくやることを習慣化しています。そういったことはどこで役立つかはわからないんですけど何かを打開したい局面などで意外とヒントになったりします。アンテナの張り方を習慣化しているかどうかは重要だなと感じます。つまり興味を持つことですね。

必要な経験、必要な環境、という観点で行くと?

植松さん:環境面ではマーケティングが複雑になってきているので、キャリアの方向によりますが、事業責任者など経営のほうに回りたいのであればいろんなことをやるのが第一優先かなと思います。割とマーケティングもバーティカルになってきちゃってるんですよね、特定の領域特化型というような。それはキャリアとしてはありだと思いますが、横断的に見たいという人に関してはいろんなものにタッチできる環境が大事だと思います。僕は元々経営に行きたいと思っていたのでこういう環境はいいなと感じていました。どういう経験が必要か、で言えば実際にいろんなものにタッチできるかどうか、ですね。

海老澤さん:マーケターの成長のために必要なことですが、G2H内の共通認識としてコンセプチュアルスキルというのがあります。つまり本質を見抜く力を身に着けることです。お客様が抱えている課題が本当にお客様にとって課題かどうか、こうやったら解決するんじゃないか、こういったところを意識しながらマーケティングをやりましょうというのがG2H内での共通認識です。僕の言葉でいうと好奇心が必要かなと思っています。さっき植松さんが言っていた隣の人がスマホでなにをしているかが気になるというのにも似てるんですけど、なんにでも興味を持って「これはどういう仕組みなのか」「隣の人は何に興味を持っているのか」「今何が流行っているか」そういう好奇心を常に持ちながら、情報を紐づけてサービスにつなげる。こうしたところに役立つので、情報をいろいろ収集しながらどう紐づけるかが大事だと思っています。

環境については何か一つ自分でサービスを作ってみたらいいと思うんですよ。なんでもいいんです、YouTubeやインスタだったり。そういうことをすれば自分で環境を作り出すことができるし、一番身につくんじゃないかと思います。自分で一からやってみるということはすぐにでもできるのでお勧めですね。
経験はGM寄り、経営寄り、スペシャリスト寄りでいろいろありますが、僕は今事業責任者をやらせていただいていて、経営寄りは面白い場所だなと感じています。色々な経験を幅広くすることが大事ですね。一方で特化型のスペシャリストに関しては激戦区だと感じています。これだけリモートワーカー、フリーランスの方が増えている中で肩を並べなくてはならないわけです。現在多くの業務委託の方と仕事をしていますが、やはり皆さん非常に優秀なんですね。そうした中で抜きんでるためにはスキル特化にプラスアルファでなにかあるといいと思います。



後編に続きます!
 

Profile プロフィール

 
植松勇人(Hayato Uematsu)
2007年に当社(旧ネットプライス)に新卒で入社後、デファクトスタンダード株式会社に出向。当時はまだ珍しいアパレルリユースDX事業である「ブランディア」にて多岐にわたる業務に従事し、マーケティング領域を中心に買取・販売を拡大し、事業成長に貢献。2008年マーケティング部長、クリエイティブ部長に就任後、2014年12月に取締役に就任。現在はBEENOSグループとして海外販路の拡大など新たな取組を開始。
 
海老澤 佑太(Yuta Ebisawa)
新卒で出版社に入社、広告代理店に転職した後、2014年11月に株式会社ショップエアラインに入社。「海外から日本へ」商品を届ける越境ECサービス「セカイモン」を担当し、マーケティングに従事。web広告、CRM、サービス改善、アライアンス業務を経てマーケティングマネージャーに就任。2019年11月にBeeCruiseに異動し、グループ横断で各事業のweb広告、SEOなどのwebマーケティングのサポートや新規事業のサービス開発支援、営業を行う。2020年8月よりBEENOS Travelのマーケティングマネージャーを兼務し、現在は長期専門OTAサービス、「Monthly Hotel」の事業責任者を務める。