Business 2021.11.05

新卒入社社員が事業責任者になるまで。 2大事業のCOO/取締役2名にキャリアの積み方と成長のヒントを聞きました ー後編ー


BEENOSグループで2大事業を牽引する佐藤星と植松 勇人。新卒から入社し、COO・取締役を務めるお二人がを迎えて若手社員向けに開催された座談会を記事に起こしました。前編ではキャリアについて、「何でもやったことで、全体が見えるようになった」と共通点を話したお二人でしたが、後編ではCOOを志す若手が今から取り組むべきことについて触れます。事業責任者を目指す方必読の対談、後編です。
 

COOに必要な心構えーまずやってみること、全体を見て最適解をだすこと


―COOに必要な心構え・考え方 はなんですか

植松:自分の考えですが「まずやってみる」がすごく大事な気がしますね。
どうやったらできるのかアプローチしてみるのと、シャットアウトしてしまうのかでは結構違うと思っています。やってみてわかることが経験上圧倒的に多いんです。「ああ知らなさ過ぎたな」と実感する。知らない中での判断だったりとかやってみることが多かったので、どうすれば実現できるかを考えながら取り組んでいました。

あとはいろんなことをやり始めたときそこを具体的に管理する方法を実践していました。
Excelで分単位で仕事の進捗を毎日つけて、その記録を後で見ていました。どれぐらい何に時間を使っていたんだろうと。そうしたらGaroonを2時間見ていたんですね(笑)それで2時間見ているのはいかんなと思ったり。仕事がパツパツになっているときにそうやって自分にフィードバックする作業をしていて、時間の管理をしていました。最後は「これやっている意味ってなんだっけ」と結果にめちゃめちゃこだわっていましたね。
結果が出ないと自分も悲しいし会社も伸びないですし。僕は毎年年末に野球の戦力外通告の番組を見ているんですけど、打てなかったらおしまいとか毎日の仕事も同じだと思うんですね。結果にこだわるということはすごくやっていました。年末この番組を観てゆっくりするのが年一の楽しみですね(笑)

星:COOは自分の立場からいうと第一に部下の人が優秀なんです。ありがたい話ですが、各部署から、基本的には一番優秀な人が自分の部下になってくれていると思います。ですので、全体を見ないといけないCOOのポジションとしては彼らがやらないことをやらなくてはいけないと思います。現場は彼らがやってくれるし情報も集まっている、彼らの間の部分に問題がないかを見ないといけないですね。また、彼らは目先の仕事をやらなくてはいけないんですけど、僕はちょっと先のところを見て全体のバランスをとる、長期的な部分と短期的な部分の間を取り持つようにして見ています。たとえば僕は人事の採用も積極的に手伝っていますが今いるメンバーをどう生かすかがマネージャー陣の役目だとしたら、僕はどんな人を採用するべきかを考えたりしています。何でもやらないといけないからこそ全体のバランスは重要だし、できる限り組織と組織外のところ、現在と未来、会社と株主のバランスが取れるようにしています。

COOもある種中間管理職じゃないですか。上から好かれるだけでもダメで、下から好かれるだけでもダメだと思います。時として下には難しい要求をしなくてはいけないかもしれないですし、上から言われたことに対してひょっとしたら、「できない」と言わなくてはいけないこともあるかもしれない。そこを自分なりに考えて組織全体として、自分が考える最善の答えを出すことが重要なんじゃないかと思います。

勉強・努力の結果は後で返ってくる


―若手のうちは何を勉強したらいいのでしょうか? 

植松:時間を作るの大変だけど本は読んだほうがいいです。ハードカバーでも電子書籍でも何でも構わないです。僕は会社で習慣化させられたんですけど、本を読む習慣が社会人になってから特にできて、経営やマーケティングなどなんでも読みまくっていました。今も読むことは多いです。
あと、自分たちの事業は知っているが他社の事業は知らないことがあるんですけど、そこで他社の決算資料はよく見ていました。同じ業界ほかの業界問わず。決算資料を読むと構造が異なっていたり、ちがうところにヒントが転がっている。自社と同じ課題にぶち当たっていたりして、そういう資料がただで見れるというのはラッキーですよね。決算資料を見ると見識が広がるかなと思います。
あとは伝聞に頼らないこと。直接見聞きすることを大事にしています。直接見聞きできない場合はいろんな人の話を聞くことにしています。一人の人が言ったことを真に受けないようにしていますね。もうひとつは僕もあんまり得意じゃなかったんですが早起きですね。(笑)必ず決まった時間に起きるようにしています。今は5時半に起きています。結構いいですよ。本読んだりボーっとしていたりたまに二日酔いだったり、数字は欠かさず見ています。重要なことをやったり。夜は時間を読みづらいんです、眠くなったりとか。朝はバシッと起きることで損はしないと思います。

星:BEENOSは仕事の領域が広いのでシステムとか法律とか経理とか物流とかマーケティング…など勉強しようと思ったら本当にいろいろありますよね。ぶっちゃけて言うと勉強しようと思うときりがないと思うんです。だから好きなことをやればいいんじゃないかと。逆に、何か勉強していれば後で返ってくると思います。僕は大学の時は応用数学とかも勉強していましたが、ちゃんとやれば今仕事に生きたかもしれないと思います。
ただ、あえていうと、僕としては、SQLがコスパ良かったと思います。あんまり勉強に時間はかからなかった割に、今でも毎日使っています。

―どんな努力をされてきたか、若手は非常に気になると思います。

星:あんまりないですね。(笑) 一つあるとしたら、議事録は自分で書いていました。会議があるときは自分で書くようにしていました。基本的に喋りながら書いています。面接のときも自分で記録しています。なので面接終了の5分後には人事にフィードバックを出せます。喋りながら文章を書くスキルは身につきました。

植松:難しいですね。
当たり前のようなんですが、今日の会社の売り上げはいくらか、サイトのアクセスどうだったかの結果を意外と毎日見ている人はいないと思うんですよ。若い時特に。それを頭に入れて結果をすらすらいえるくらいに見ることが自分は好きですね。PV増えたなあとか、売上なんで上がってるんだろうとかに対してみて考えることが早い段階から始められると状況がわかりやすいですね。嫌でも毎日見るということを若いうちからやっていましたね。見たくないときは全然あったんですけど(笑)

BEENOSは若いうちから挑戦のチャンスが圧倒的にある


植松:BEENOSは若いうちから挑戦のチャンスが圧倒的にあるんです、どこと比べても。挑戦するチャンスが裁量とセットでもらえるんです。仕事を任せてもらえないと訪れない機会ですよね。20代前半とかでは自分によく任せたなとも思うんですが(笑)不安がある中でもやってみようという気持ちがありましたね、それがなかったら今の自分はいないです。そういうチャンスがあるとうたっている会社はよくありますが、本当にあるところは少ないと思っています。そのチャンスがなくて苦しんでいる人の話もよく聞くので、このチャンスの部分については本当に実感するところでもあります。

星:グローバルな仕事ができる点ですね。世界的なマーケットプレイスや企業と対等に仕事ができるのは面白いですね。Eコマースって全体的には寡占化が進んでいまして、どんどんつまらなくなっていく部分があると思います。どうやっても最大手に勝てないということが世界中で起こっている。
しかし、クロスボーダーという視点においては、まだ明確な答えを持った会社があまり多くないと思うので、そういった会社と対等にビジネスを構築する機会がやり方次第であると思います。僕はそういったシーンで何かチャンスがないかと提案をしたりして、それが実になることもある。そういうところが面白いと思いますね。

ストレスのかわし方、自分を客観視することの大切さ


―これだけはやっておいたほうが良いことなど、アドバイスを頂きたいです。 

星:一番重要なのはストレスをうまくかわすことだと思います。メンタルが強い人はいないと思うんです。厳しい状況が続けばどんな人でもダメになる。だからメンタルの強さを過信しないほうがいいと思っています。その代わり、いやだなとか苦しいなと思ったとき、なんで苦しいかを考えることが大事だと思います。考えていくうちに解決策がでることもありますし、逆に、「しょうがない」という結論が出て来ると思います。ミスや成果が上がらないことは運もあると思います。失敗したり成果が上がらなくてもこういう理由で仕方なかったなと思えれば前に行ける。ストレスがあっても、ストレスの発生源についてストレスを感じない状況を作れるようにするのが重要かなと思っています。新卒とか若い時はそういった対処がなかなかできずに苦しむことがあると思います。苦しいこともたまにはいいと思いますが、苦しいことばかりだと仕事も出来ず、パフォーマンスも落ちてしまい、それが別のミスを生んでしまったりもします。なので、自分なりに考えて答えを出してストレスじゃない状況を作ることが一番大事だと思います。

植松:具体的な話は先ほど話したように本だとか人の話を過信しないとかになりますね。ほかには他社に行った大学の友達とか仕事でつながった他社にいる人の話はすごく大切にしています。彼らは自分の凝り固まった部分を指摘してくれるんですね。仕事を続けているとだんだん怒られることがなくなっていくんですよね、グサッと刺さることを言ってくれる人が少なくなるんです。そういったことを言ってくれる人というのが大学の友達とか仕事でつながった人の中にはいるんですよね。僕は現状確認が大事だと思っていてるんです、仕事だけで行きまくると見えていない世界があったりするので。人との接し方に対する指摘なんかは仕事上では言いづらかったり出てこない部分だと思うんです。それを指摘してくれる人たちは大事なことに気づかせてくれる。なので、彼らとコミュニケーションをとることは意図的にやっていますね。

大事なのは自分で限界を決めないこと、仕事の背景を考えること


―最後に、若手に伝えたいメッセージをください
 
植松:僕も12年前は入社3年目でした。今の新卒や若手の皆はすごく頑張っています。今はテクノロジーも進化しているし効率的なアプローチができているんだと思います。これ以上無理に頑張れというわけではなくて、自分で限界を決めないでほしい。僕はもともと会社に入る前は自分で会社を起ち上げたいとか何か事業をおこしたいなと思っていました。本当にそれができるかってわからないことなんですよね。それができるかどうかを、「いや、自分はできないな」とかいろいろ考え方は出てくると思うんですけど多分自分で決めつけてしまっているんです。若手は可能性がものすごくあるので、どこまで自分をひっぱりあげられるかは自分で決められるところだと思います。メンタルがやられない、体力が続く限りはやれる範囲は無限にあるので上限は決めないほうがいいと思います。逆に三十代になると自分の得意や強みが見えてくるのでまたそこで考えればいいと思うんですけど、若いうちはそこを考える必要はないです。自分で限界を決めないで突き進んでほしいですね。僕や星さんがやっているこの対談をできる人が増えることが楽しみですし期待している部分です。

星:仕事をやるうえで背景やそれをやる意味を考えたほうがいいですね。
背景を考えなくても仕事ってできるんですよ。やれと言われたことを、ただやることはできますが、考えていないと10年同じことをしていても全然成長しなかったりすると思います。
一方で考えられる人は背景を考えることで、別の角度からの改善点を見つけられるようになったり、別のアプローチの仕方を見つけたりすることができるようになってくるので、しっかり考える人と、考えない人とでは最初は同じスタートラインでも、またひょっとしたら、短期的には考えない人の方が仕事が早かったりするかも知れませんが、長期的には考える人の方が大きく差をつけていくと思います。考える人は何をやっても的を得た仕事ができるようになるんです。そういう人には僕からすると仕事を任せやすくなります、この人に任せれば間違った答えは返ってこないだろうとなるんです。ですので、最初は言われたことをただやる、ということもあるかもしれないですが、その先の背景などを時間が許す限り考えてみてもいいんじゃないかなと思います。

おまけ:当日出た質疑応答をご紹介します!-

①    ―COOや取締役に任命されたときはどんなかんじだったんですか

星:直井さんからCOOの話がありましたね。重い感じではなくて普通の感じでした。

植松:圧はないですね。就任するかどうかはこちらにゆだねられているので、選択権がありました。重みはありましたね。

②    ―好きな本はなんですか

植松:「経営は実行」という本ですね。取締役になるタイミングで勘違いしていることが多かったなと気づかされた。マネージャーになっても取締役になっても最終的に実行の部分が大事ということを気づかせてくれます。任せた仕事がやり遂げられてるかも含めて実行がすごく大事ということを書いてくれている本なんですけど、すごく今でも見ます。

星:経営と関係ないですが最近読んで面白かったのは「Why Nations Fail」ですね。どんな国が栄えてどんな国がだめになるのかを書いてある本です。

③    ―日常的な情報収集はどうしていますか?

星:Googleアラート使っています。情報収集一般だとRSSリーダーを使っています。

植松:僕もRSSリーダー使っています。ロボフォリオという適時開示出たとたんに通知が来るものを使っています。広く情報を拾うという意味ではツールをうまく使うと効率的ですね。

―若手のうちにやれることはたくさんありますね。星さん、植松さんありがとうございました。



新卒入社社員が事業責任者になるまで 2大事業のCOO/取締役2名にキャリアの積み方と成長のヒントを聞きました ー前編ー

 

Profile プロフィール

 
佐藤 星(Sei Sato)
大学在学中より当社にて事業構築に携わり、2009年当社入社。設立直後のtenso株式会社にて、事業立ち上げに関連する基盤構築のため、多岐にわたる業務に従事。2012年以降、購入サポートサービス「Buyee」の事業責任者として、クロスボーダーEC領域における業界ナンバーワン事業への拡大に貢献する。 2017年、tenso 取締役に就任後、2019年にCOOに就任し、事業の運営を統括。 2020年よりBEENOS株式会社常務執行役員に就任、グローバルコマースDivision副担当として「FROM JAPAN」「TO JAPAN」両事業を統括する。
 
植松勇人(Hayato Uematsu)
2007年に当社(旧ネットプライス)に新卒で入社後、デファクトスタンダード株式会社に出向。当時はまだ珍しいアパレルリユースDX事業である「ブランディア」にて多岐にわたる業務に従事し、マーケティング領域を中心に買取・販売を拡大し、事業成長に貢献。2008年マーケティング部長、クリエイティブ部長に就任後、2014年12月に取締役に就任。現在はBEENOSグループとして海外販路の拡大など新たな取組を開始。